アマゾンは書籍などの実店舗展開を開始していますが、さらにショッピングモールに400店の出店を計画していると今年のはじめに伝えられていました。ネットと実店舗を連動させ、顧客との接点を増やし、顧客ロイヤリティを強化していこうということでしょう。しかし、チャレンジ精神旺盛なアマゾンですが、なんと今度はコンビニの「アマゾンGO」を始めるというのです。昨日発表されました。
メルマガで、日本の流通業の今後の成長方向の可能性について触れたばかりのところでしたが、日本の強みであるコンビニエンス事業にアマゾンが参入してくるとはなにか不気味さを感じます。 コンビニの王者セブン・イレブンをも駆逐する脅威になるのでしょうか。
日本の流通業の今後の成長軸 :: 「視点を広げる - 大西宏のマーケティング発想塾」 :  

アマゾンのコンビニでの狙いは、センサーやモニターカメラだけでなく、人工知能も駆使して、徹底した効率化をはかるもので、レジすらないというのです。顧客は入店時にアプリを起動し、入り口でバーコードを読み取らせておけば、棚からとった商品は自動的に読み取られ、そのままバッグに入れても大丈夫で、お店では精算する必要がありません。詳しくは、米国の流通事情に精通されている後藤文俊さんの記事をご覧ください。
【アマゾン】レジフリーなアマゾン・ゴー!万引き犯もびっくりなレジなしコンビニ?:激しくウォルマートなアメリカ小売業ブログ :
こちらの動画でイメージはつかめると思います。

これぞハイテクの結晶、一度は体験してみたいと感じさせてくれます。

お店では、棚卸しや商品補充だけの業務しかいらないので、人手がいらず、雇用を減らすので、次期大統領トランプさんを逆なでするような店舗です。

ついでに言えば、製造業を取り戻し、雇用をつくるという主張に、ラストベルト(さびついた工業地帯)の人びとが共感し、大統領選に勝利しましたが、実際には、製造業の回帰ははじまっていても、かつてのようには雇用が増えないという現実に直面しています。

その理由は、製造工場はどんどん自動化され、無人化されてきているからです。それに加えて、小売業の省人化がさらに進むというのですから大変です。

さて、実店舗で実績を築いた企業の多くは、ネット側にビジネスを拡張することに苦労しています。ウォルマートしかり、また日本のセブン&アイの「オムニ7」もしかりです。 逆にネットで実績を積み、物流の仕組みを築いてきたアマゾンによる実店舗ビジネスへの進出に落とし穴はないのでしょうか。

アマゾンGOには、次のような疑問というか、課題をどうクリアしているのかが気になります。

ひとつめの疑問は、この仕組への投資額、それぞれの店舗への投資額はどれくらいなのか、それは回収できるレベルなのかです。おそらくそれは基本中の基本なのでクリアしているのかもしれません。

ふたつめの疑問は、アマゾンは食品や日用雑貨を商品化した経験を持っていません。コンビニもサプライチェーンを統合した良質なPBの品揃えを厚くしなければ価値競争で優位に立てません。また、ナショナルブランドだけを取り扱っていては、品揃えでの差別化もできず、高利益も追求できなくなります。

レジ待ちするかどうかよりも、その店に美味しい弁当があるかどうかのほうがはるかに重要視するということもあると思います。 そして売れ筋を補充する以上のこと、つまり売上実績のない新製品も扱わなければ、商品に変化がなくなり、店舗は陳腐化してしまますが、それも解決するシステムなのかです。

みっつめの疑問は、レジ待ちしないでいい、自動精算だというのが、最初は物珍しくとも、どれほど生活習慣として定着するのかというのと、消費者がどれほど付加価値として感じるかです。

これらの疑問も、ネットから実店舗へとビジネスを広げ、売上を増やしていくことで吹き飛ぶのかもしれません。とくに赤字になろうが、将来にむけてインフラに投資しつづけるベゾスCEOならでは実現できる戦略であることだけは間違いありません。

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