米国は世界の警察として君臨することはすでに放棄しつつあり、トランプ大統領誕生によって、それがさらに加速します。米国、ロシア、中国の軍事大国による支配体制の時代がやってくるのでしょう。それにしても、そんな大きな変化を前に、隣国の韓国は経済も政治も大きく揺らいでいます。朴槿恵大統領周辺をめぐっては、ドラマ顔負けの展開がつぎつぎに起こり、ついには大統領府によるバイアグラの購入までが公になるように大統領府が機能不全に陥っています。
その韓国ですが、「高高度防衛ミサイル(THAAD)」を在韓米軍に配備することを決定したことから、それまでの中国との蜜月が嘘のように関係が冷えてきています。しかし、、むしろ中国と韓国の経済関係が変化してきた背景による影響を感じます。

中国と韓国は長い間、産業の分業体制で結ばれた経済パートナーの関係でした。しかし「高高度防衛ミサイル(THAAD)」問題が、それまで燻りはじめていた両国の経済関係のきしみを表面化させたとも言えます。中国の産業が成長し、技術も向上してくるとしだいに製品で競合し合う関係になり、さまざまな分野で摩擦もおこってきています。

その波紋が、文化や芸能などにまで広がり、韓流コンテンツの締め出しの動きが起こりはじめているようです。韓国の朝鮮日報が報じていますが、韓流コンテンツの規制を主導しているとされる中国国家新聞出版広電総局の当局者が、中国版ツイッター「微博(ウェイボー)」にそれを認める「五つの理由」について書き込みを行っていいます。
 

そのなかで「無分別な行為に対して警告するため」という5番目の理由は、「高高度防衛ミサイル(THAAD)」配備が原因かもしれないとしても、その他の理由は中国の「華流」コンテンツを育成するために「韓流」を占めだすというものです。文化でも中国の「華流」を周辺国に広げ、大中華圏でも形成しようとでもいうのでしょうか。

韓流コンテンツだけでなく、韓国への旅行も制限しようという中国の動きを韓国の中央日報が伝えていましたが、両国の経済の構造的な関係の変化から見れば、必然的な流れなのでしょう。

もし異常とも感じた朴槿恵大統領の中国への接近外交が、今騒動の真っ只中にいる崔順実(チェ・スンシル)容疑者の霊感によるものだったとすれば、霊能者という割にはカンが悪すぎたのでしょう。下手な霊感に頼るよりは、ま構造変化を冷静に見極めるほうがまだ役に立つということではないでしょうか。

また韓国の事例は、極端な外交を行うと、なにかをきっかけにその反動も強くでてくるという教訓だと思います。

トランプ大統領が選挙中に、駐留費の全額ださなければ日本から米軍を引き上げるという発言をしていました。さらにロシア、中国の軍事的な支配力が高まってくるなかでは、どうしても安全保障問題に議論が偏ってしまいそうですが、まずは、左右の極論ではなく、安保体制、また安保以外も含めた世界の現実を直視した議論が高まって来ることを期待したいものです。


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