中国政府が韓国を訪問する中国人観光客数を昨年より20%以上減らせという指針を各省の一線の旅行会社に出したと韓国紙中央日報が報じています。横行している格安旅行の弊害を根絶する狙いなのか、THAADの韓国配備決定に対する報復措置なのかと理由を探っているようですが、韓国経済が減速しはじめたこのタイミングで、韓国経済にさらにダメージを与える措置がとられたとすれば、もっと大きな意図がその裏にはあるのではないかと疑りたくなります。
中国政府「韓国に行く中国人観光客20%減らせ…ショッピングも1日1回だけ」| 中央日報 
 

経済力が落ちれば、それだけ相手側を更に弱めるための政策手段の選択肢が増えてくるという典型ではないでしょうか。


韓国経済は、今、転換期を迎えています。経済だけでなく、韓国の国民意識にも変化が求められているのだと思います。


これまで韓国の経済成長を牽引してきたの片方のエンジンは財閥経営でした。素早い意思決定と思いきった設備投資を可能にし、時代変化を追い風として、世界市場で存在感をつくりだしてきました。財閥グループは、今や韓国GDPの60%を稼ぎだすに至っています。そしてもう一方のエンジンが、日本に追いつき追い越せの国民意識です。日本を標的にすることで、まずは模倣を行い、それをベースに世界市場でのシェアを日本から奪い、日本を追い抜く分野もでてきました。


しかしその2つのエンジンが同時にほころびはじめています。


ノート7の発火問題でサムスンが揺らいでいます。世間を騒がしたナッツ姫の父親が率いる韓進グループの韓進海運は経営破綻してしまいました。現代自動車は労組のストが続き売上が激減の異常事態に陥っただけでなく、リコール隠しの疑惑まで浮上してきています。ロッテも後継者問題でトラブルがありました。


しかも、長年日本との競争を第一に置いてきた体質が、消費者やユーザー第一主義ではなく、競争に勝てばいいという荒んだ意識を生み、現代自動車の不正な燃費操作、サムスンの拙速なリコール処理などの原因となってきたのではないかと思われます。


それは洗練された先進国としての力を持つ高いハードルに韓国が遭遇しはじめたにもかかわらず、相変わらず日本を標的にする途上国意識から卒業できない結果でしょう。


そして、状況が変わってきたのは、経済では中国が韓国のライバルになってきたのです。日本と中国なら互いの産業構造から見て、まだ棲み分けも可能でしょうが、中国と韓国では、世界市場で激突しはじめ、とくに成長が期待できるASEANでも両国間の輸出競争が年々激しさを増しています。

中国と韓国の輸出競争、ASEAN市場で年々激化=中国が優位 - Record China : 


今は日米韓協調政策へと転換を行った朴槿恵政権ですが、中国と韓国との産業構造、競争関係をもうすこし分析すれば、決して中国寄りの政策はなかったはずです。今や世界市場で韓国は中国の草刈り場になってきています。そう考えれば、韓国旅行の制限はもしかすると溺れる犬は石もて打てということなのかもしれません。

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