セはエース前田健太を失った広島カープが、黒田、新井両ベテランの復帰もあって優勝。優勝を決めた瞬間のベテラン2人の涙が印象的でした。この試合中継は、広島地区でなんと平均視聴率が60・3%。瞬間最高視聴率はなんと71・0%でした。

パは、優勝が決まるかという9回に、それまで1安打に押さえ完璧なピッチングだった大谷投手に力みがでたのか四球を出し、場内の観客が、またテレビ観戦をしていた人たちが固唾を飲む中でゲームを制し、日本ハムファイターズが優勝を決めました。こちらは札幌地区の北海道放送の平均視聴率が28.9%、瞬間最高視聴率は47.5%でした。こちらもBS中継の平均視聴率16.7%を加えると、およそ45%の視聴率となります。

広島も、札幌も野球一色に染まったのです。

これだけ熱く盛り上がり、巨人のナイター中継はもう二桁の視聴率がとれなくなってしまったとはいえ、地方ではいまでも視聴率がとれるコンテンツであり、観客数の推移をみると、ライブドアや楽天のプロ野球参入をめぐるプロ野球界のマネジメントの酷さへの失望から激減した観客数も順調に回復してきています。しかし、それでも野球は深刻な問題に直面してきているのです。




観客動員

上のグラフのようにライブドアや楽天参入問題でプロ野球に失望し激減した観客動員数は、その後の各球団努力で回復してきたとはいえ、野球は崩壊に向かいかねない問題を抱えているのです。

その警鐘を鳴らす一冊が出版されます。著者の広尾昇さんは、古くからの知人で、野球ライターですが、野球の本としては5作目となる『野球崩壊』を出版されました。高知新聞の連載記事で全国の少年野球人口が激減してきていることを知り、「野球離れ」が猛烈な勢いで進んできていることへの危機感にかられて執筆を考えたそうです。

 150629gekigen01

【高知新聞】激減!県内少年野球 より:


将来の野球を支える少年野球の人口が激減してきているのです。日本中学校体育連盟の調査では、2015年度の軟式野球部員は全国で20万人で10年前よりおよぞ9万人減少しています。一方でサッカー部員は10年前より約2万人増えて24万人となり、野球はサッカーに抜かれたことが象徴的です。かつては、誰もが子供の頃は野球で遊んだのですが、今ではサッカーで遊ぶ子供の姿しかほとんど見かけません。


野球が敬遠されるようになった原因は、いろいろありますが、アマからプロまでを一貫してマネジメントする組織がないことが致命的になってきているのではないでしょうか。スポーツで感じるのは、もちろん選手の体力、技術や精神力が大切とはいえ、スポーツの実力はそれらを育てるマネジメントの質で決まってくることです。


とはいえ、まだまだ高校野球にしても、プロ野球にしても人気は高く、人びとの関心が高いうちに改革を進めなければ、全国、どの地方に行っても整備されている野球場もやがては負のレガシーになってしまいかねません。
 

『野球崩壊』では、サッカー改革を行い、今はバスケットボールの再建に取り組まれた川渕三郎さんをはじめ、さまざまな分野の方を広尾さんがインタビューされた内容も紹介されています。ちなみに私もインタビューを受けたひとりです。野球だけでなく、スポーツに求められている視点も紹介されているように思います。


広尾さんは、ブログで「旧弊で頑迷な人たちが球界上層部に巣食っている図式は変わらないにしてもかなり上位の人々が危機意識を持ち始めている。そして、変革を模索し始めている」とされていますが、今回のリオ・オリンピックではさまざまな競技での改革が行われた片鱗を感じました。
野球の記録で話したい :  


東京オリンピックにむけて、スポーツがさらに熱くなってきますが、日本のスポーツ文化を大きく変えるチャンスがきているように感じます。

SFAによる顧客管理ならアクションコックピット
モバイルの活用が広がる営業支援システム アクションコックピット