「自動運転」モードで走行していたテスラが、高速道路の分岐点で左折しようとしたトレーラーの下に潜り込むように突っ込んだ死亡事故については、このブログで取り上げましたが、また中国で「自動運転」による死亡事故が起こったようで、「自動運転」の開発競争に警鐘を鳴らしているように感じます。

テスラ、中国での死亡事故「原因特定できず」 - WSJ : 


「自動運転」は、スマートフォンに匹敵するような大きなイノベーションが枯渇してしまったせいか、官民あげて開発のイニシアティブをとろうとするチャレンジが起こっていますが、安全性の担保には細心であって欲しいものです。


「自動運転」には、技術的にも、法律や施設などの社会インフラの整備という点でも、まだまだ課題が多いはずですが、テスラのように、安全や負担軽減などのための「運転支援」にすぎない技術を「自動運転」とうたったり、シンガポールのように自動車部品メーカーのデルファイトと政府で自動運転車を使ったタクシーの実験プログラムを進める動きが起こってきています。

デルファイ、シンガポールの市街地で自動運転タクシーの実験へ - WirelessWire News(ワイヤレスワイヤーニュース) : 



確かに、「安全性」を高めたり、「運転負荷」を軽減するための機能は社会的にも、またユーザーにもニーズはあります。追突防止や歩行者の巻き込みを防ぐ安全機能などは法的にも適用を全車種に広げたほうがよさそうですし、昔の一定速度を保つオートクルーズはたいして役にたたなかったのですが、今ではセンサーで前の車を自動追従して車間距離を保ってくれ、ずいぶん高速道路の運転が楽になりました。こういった技術は価値を感じます。


しかし、果たして「自動運転」そのものにニーズがあるのかは疑問です。


運転が楽しくなさそうですし、どれだけ信頼できるかも疑問です。ましてどこかのCMにあるように運転を自動運転に任せてミーティングする必要性がどれだけあるのでしょう。


もしかすると、「自動運転」技術は、液晶テレビの最初の夢だった「壁掛けテレビ」と同じ道を歩むのかもしれません。結局は電卓や時計などで「液晶技術」を積み上げていった日本のメーカーが技術を確立し、結果として「壁掛けテレビ」も実現したのです。


自動運転は、走行条件などのデータを蓄積し、人工知能で実現するだけでなく、ひとつひとつの制御の品質、たとえば歩行者や障害物をセンサーが探知して確実に止まることなどがともなってはじめて実現できます。そろそろ、どれだけ確実に安全機能が働くのかの公的なテストの実施と、結果の公表が必要になってきているのではないでしょうか。

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