テスラは、いくら急成長しているとはいえ、昨年の年間売上高が40億ドルと自動車産業としてはまだまだ小さな企業です。しかも昨年の営業損失がおよそ7億ドルでした。そんなテスラの電池をめぐり、日経の誤報とテスラのイーロン・マスクCEOのツイッターでの発言に、リチウムイオン二次電池を作るサムスンSDIやテスラの電池を独占供給しているパナソニックの株価が振り回される出来事がありました。
ことの発端は、日経が6月5日に、テスラがEV用蓄電池で、サムスン製も採用を検討し最終調整を行っているという記事を出したことです。テスラの電池はパナソニックが独占していますが、「EV販売の規模が拡大するなかで調達先の多様化を進める計画」だとまで言い切っています。
米テスラのEV用蓄電池、サムスン製も採用検討 :日本経済新聞 :
これに市場が反応するのも当然でしょう。サムスンSDIの株価が上昇し、当然パナソニック株は下落します。日経にはこういった誤報がつきものだとしても、おいおい、株価操作じゃないかと疑ってしまいます。
それに対してイーロン・マスクCEOがツイッターでテスラのモデル3、モデルSなど電気自動車モデルには今後もパナソニックしか使わないとツイートしたとたんに、サムスンSDIの株価は8%も下落してしまいます。そして当然パナソニックの株価は上昇しました。
<東証>パナソニックが後場一段高 テスラCEOのツイッターが材料 :日本経済新聞 :
まだ話は続きがあって、つぎはイーロン・マスクCEOが新聞記者の質問に、家庭用エネルギー保存装置ではサムスンの電池採用もあり得ると答えたためにまたサムスンSDIの株価はやや持ち直しました。
テスラの一挙手一投足に影響されるのは、テスラのブランド力が高く、自動車産業の将来を担う存在だということでしょうし、サムスンSDIやパナソニックにかぎらず、部品を供給する産業の宿命なのでしょう。
そのテスラが主力セダン「モデルS」の廉価版2車種の販売再開するそうです。当初は人気がなかった低価格車種でしたが、「モデルS」のユーザーの評価や人気を考えれば、今なら売れるということでしょうか。
テスラ モデルS、エントリーモデルを“最小化”…電池少なく、価格引き下げ | レスポンス:
人気が高まり、勢いに乗って、存在感がどんどん高まってきているテスラですが、いくら電気自動車だと言っても、道路を走行するのは物理的なメカニズムなので、基本的な品質や性能で足元を掬われかねないというリスクはまだつきまとっており、もうそろそろ、品質管理の能力が成長の鍵のひとつになってきそうです。
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