広島でのトラックの衝突事故は鳥肌が立ちます。トラックの運転手は居眠り運転だったのでしょうか、それとも脇見運転なのか、捜査を待たないといけませんが、次々に車を跳ね飛ばしていったのは尋常ではありません。
今年初めに起こった軽井沢スキーバス転落事故、大阪の梅田の交差点で乗用車が歩道に突っ込んで11人が死傷した事故、そして今回の事故など、つくづく車は一瞬に凶器になることを思い知らされます。

とくに、トラックやバスの事故は甚大な結果を引き起こすことがあり、記憶に残りますが、警察庁による「平成26年中の交通死亡事故の特徴及び道路交通法違反取締り状況について(PDF)」を見ると、全死亡事故4,013件のうち、バスやトラックなどの営業用の自動車が起こした死亡事故は408件で、実は普通の車などによる事故のほうが圧倒的に多いようです。

大きな事故が起こると、事故が絶えないように感じてしまいますが、実際には交通死亡事故は減ってきています。ただ減少幅が小さくなり下げ止まりはじめています。そもっとも大きな原因は高齢者の死亡事故です。ひとつは歩行中の高齢者が事故に巻き込まれる事故が増えているというのと、高齢者のドライバーが引き起こす事故も全体の4割以上を占めています。

36

09

すでに大型のトラックやバスに関しては新車に限って、自動ブレーキ装備が義務化されていますが、高齢者のドライバーに対しての義務化をより積極的に進めたほうがよさそうです。

自動ブレーキは米国やEUでも義務化に向かってきていますが、こういった規制は、自動ブレーキなどの安全補助システムの市場を拡大させ、自動車また部品産業の技術開発競争を促します。しかもセンサーや制御といった、デジタルとアナログのハイブリッドな世界なので日本が優位に立つことも可能だと感じます。センサーは、日本が未だに50%を超えるシェアを持っていますが、排出ガス規制とともに、システム産業化していくための切り口にもなってくることは間違いありません。



高齢化による事故増加を防ぐ必要があるという社会ニーズと、新たな市場を拓き、産業の進化を狙うということが一致してきます。社会が豊かになればなるほど「安全」へのニーズが高まり、また「安全の価値」も高まるので、そこに投資することは意味があるようにも思います。

経済効果が薄く、将来世代に維持コスト負担を残す公共工事ではなく、教育やこういった分野への公共投資へ大きくシフトしていく時期になってきていますが、そんなリーダーシップを発揮する政治の登場を望みたいものです。

SFAによる顧客管理ならアクションコックピット
モバイルの活用が広がる営業支援システム アクションコックピット