キャッシュバック(現金還元)などの販促費を削減させるために総務省が「指導」した「実質0円撲滅」の影響で、2月のドコモ、au、ソフトバンク3大キャリアのスマートフォン販売台数が激減したようです。「実質0円」終了前に起こった駆け込み需要の反動によるもののようですが、「実質0円撲滅」は、ほんとうに必要な「指導」だったのか、はたして総務省が関与すべき問題だったのか、それで何がえらえるのかは疑問に感じるところです。
“実質0円”終了の衝撃、2月前後の量販店データをBCNが分析 - ケータイ Watch

それで思い出すのは、2007年に総務省が指導した販売奨励金の是正問題でした。当時、メーカーに課していた「販売奨励金」を利用し、「1円端末」といった売り方がなされていましたが、総務省が「指導」という建前で規制をかけたのです。

理由は、この仕組みで安易に売れるために、それに安住した携帯メーカーが弱体化したということと、年間2兆円ともいわれた巨額の販売奨励金は、基本料や通話料といった料金に上乗せされ、結局は消費者に高額の通信費を負担させることになってしまっているというものでした。実際通話料で大きな内外価格差がでていたのも事実です。

この規制に関しての是非をめぐっては異なる意見もあるでしょうが、しかしすくなくとも、日本の携帯各社が弱体化した原因は別だったように思います。

総務省は、この制度でメーカーが弱体化したと考えたのですが、逆に世界市場で敗北してしまった結果、国内メーカーは、国内市場に追い込まれ、国内キャリアのいいなりになるしかなかったという見方ができなかったのです。この「販売奨励金」は確かに歪んだ取引制度かもしれませんが、その仕組が携帯の普及を促進してきたことは否定出来ないと思います。

いくら日本の国内市場が大きいとは言っても、グロ−バル市場からくらべればほんの小さな市場に過ぎず、問題は、国内市場での売り方ではなく、グローバル市場でなぜ競争力を失ったのかのほうでした。

総務省が、どの海外メーカーもやっていない特殊な制度だとして指導し、やめさせた「販売奨励金制度」のカタチを変えて活用し大成功したのが、アップルのiPhoneです。違いは、どこが「販売奨励金」を負担するかでした。日本の場合はメーカーよりもキャリアの力のほうが強いためにメーカーが負担するというものでしたが、アップルの場合はキャリアに負担させたのです。もしかするとアップルは日本の「販売奨励金」制度を研究し、それを取り入れたのかもしれません。

そして今回の「実質0円撲滅」です。まるで社会主義のように感じる政府による規制に見えてしまいます。たしかにそれでY!mobileやSIMロックフリーとしてMVNOなどは販売台数を伸ばしてきたのですが、総務省としては業界構造まで変えたいということなのでしょうか。

確かに1ユーザーとしては日本のスマートフォンの通信費は高いように感じますが、実は違っているようです。総務省が、ライト、ミドル、ヘビーの3つのモデルで世界の主要都市と比較していますが、いずれも真ん中ぐらいで、むしろ携帯(フィチャーフォン)との料金格差の大きさのほうが気になるところです。
■スマートフォンユーザー(音声月36分、メール月129通、データ月5GB)
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■フィチャーフォンユーザー(音声月73分)の月額料金
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平成26年度電気通信サービスに係る内外価格差に関する調査(PDF)

はたして総務省の「指導」で、スマートフォンの普及がさらに進むのか、また日本のスマホメーカーの競争力が増すのかも疑問で、「実質0円撲滅指導」の結果や効果の検証が求められると思います。それこそ総務省も「PDCAサイクルを回せ」です。

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