選択肢から消え去るよりは、たとえ悪口を言われても存在を意識してもらったほうがはるかにいい。マクドナルドが展開してきたキャンペーンがそのことを物語っているようです。1月の既存店売上高が前年比35.0%増だったのに続き2月も29.4%増だったとマクドナルドが昨日発表していました。
マクドナルド月次セールスレポート
一昨年の上海福喜食品の消費期限切れ問題につづいて起こった、相次ぐ異物混入問題で受けた甚大なダメージからは脱し業績回復に向かいはじめたようです。数字だけ見れば、飛躍的な回復に見えますが、ただ昨年の1月と2月の既存店売上高が、対前年同月比38.6%減、28.9%減という最悪の状況との比較なので、ようやく底が打て、立て直しの道が見えてきたという感じでしょうか。

店舗改装などの現場強化、お手頃マックによる低価格商品の強化など、顧客重視の政策、つまり原田CEO時代に破壊された現場再建を進めてきたことに加え、ツイッターを使った「チキチキランチ レース」やネーミング募集などの参加型のプロモーションなどで、マクドナルドを話題の俎上に乗せたことが効を奏したのでしょう。

対前年比ではマクドナルドの現況がわかりにくいので、全店売上高の四半期ごとの推移をグラフにしてみましたが、かなりのペースで売上をあげていかないと3年前の状況には戻らないことがわかります。
マクドナルド全店売上高
マクドナルドのビジネス・モデルそのものが旬を過ぎ、競争力を失ってきたこと、大きな革新が難しいことを考えると、当面は品質やコスト、またサービスの改善という基礎固めに加え、顧客のマインドを捉えるメニューの投入やプロモーションで顧客のマインドをつかめるかどうかに鍵がありそうです。

マクドナルドは、2015年の「強固な基盤づくり」から、2016年を「転換・収益性回復」の年と位置づけ、全店売上高4,250億円、既存店売上高17.6%増とし、経常利益22億円と黒字化を目標に掲げていますが、ようやくカサノバさんの粘り腰が効いてきたのかもしれません。あるいはアメリカ本社のCEO交代による影響が、日本にも波及し始めているということでしょうか。