取り憑かれると現実が見えなくなるといえば、なにかカルト宗教のようですが、大阪府の職員組合の人たちにもそれを感じます。まったく自分たちのことしか見えていないようなのです。大阪府が職員の給与月額を0・7%引き上げる府人事委員会の勧告を受け入れず、引き上げを見送る方針を労働組合側に示したことに反発し、のぼりを持ってデモ活動までやったとか。
大阪府は橋下知事誕生以降の財政再建で、単年度黒字を続けてきましたが、税収減の影響で、それが一転し、来年度予算は800億円の財源不足が生じる見込みです。財政調整基金を15年ぶりに取り崩そうという厳しい状況です。

しかし、そんなかでも、実際には期末・勤勉手当(ボーナス)は勧告通り引き上げ、4・1カ月分から民間平均並みの4・2カ月分とするのですから、むしろ喜ぶべきことじゃないかと思うのですが、どうもそうではないようです。
大阪府が職員給与引き上げ見送り 人事委勧告受け入れはボーナスのみ - 産経WEST

普通の民間感覚なら、そんななかでの給与アップはありえません。期末・勤勉手当(ボーナス)もそうです。給与アップどころか、給与の減額、厳しいリストラもあり得る話です。

給与アップは我慢するか、組合が給与の原資を探してくるか、不満ならさっさと辞めて、より高給なところに再就職すればいいと思うのですが、成果という尺度がほとんどない世界に長年浸ってくれば、感覚もズレてくるのでしょうか。

こちらの記事にあるように「普通はここまでの事態に陥れば給与ダウンもあり得るのに、どうして据え置きで喜べないのか。自分たちの仕事に報酬が見合っていないと考えるならば転職すればいいではないか」のほうが正論です。
【炎上】大阪府の公務員が「給与アップ断念」にブチ切れ→「嫌なら辞めろ。代わりはいくらでもいる」という批判が殺到 | netgeek

ちなみにこの記事では、大阪府の職員の給与は平均で38万6700円(42.6歳)となっていますが、こちらのデータでは、平均年齢の42.6歳で月収が438,804円、年収が695.96万円となっています。全国の自治体で96位で、まあまあいいほうです。
全国の自治体職員(一般行政職)の月収・年収ランキング(2015年)|給料.com

労働組合も、社会と共生する、とくに地方公務員の場合は地域の住民とともに歩み、地域貢献を第一にかかげないと、自ら地域の人たちとの溝を深めてしまいます。
給与があがらないことへの不満があるでしょうが、まずは地域からの信頼を取り戻すのが先です。
一度覆面調査でも行って、府民の人たちが、本音では大阪府職員にどんな印象を持っているのかを知ることです。そうやって根本的に活動を転換しないと労働組合も凋落に歯止めをかけることはできません。組合も社会から信頼されてなんぼなのです。そして、きっとそう思っている職員の方も少なくないはずです。

追伸:橋下元知事の字が間違っていました。お詫びして訂正いたします。

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