オバマ大統領がテレビ演説で、涙ながらに銃規制の必要性を訴え、議会の承認を必要としない大統領令による新たな銃規制強化策を発表していました。銃社会アメリカが抱える病の深刻さが伝わるニュースでした。相次ぐ銃の乱射事件だけでなく、幼児による銃事件など日本から見ればショッキングなニュースが目立つ米国です。
アメリカで増加する幼児による銃事件

米国は昨年に銃による犠牲者が1万3286人となりましたが、自殺者を含めると年間3万人を超える人が銃で亡くなっています。日本で起こっている殺人事件は、厚生労働省の人口動態統計では2013年の他殺による死亡者数は341人です。また交通事故で亡くなった人はおよそ年間4,100人強です。アメリカの人口が日本のおよそ2.5倍としても、アメリカでの銃による犠牲者数がいかにも多いことに驚かされます。

そしてテロの脅威が叫ばれていますが、アメリカに限れば、テロによる死亡者数よりも、はるかに銃殺人の犠牲者数の事件のほうが多いのです。
WIREDの記事によると、2003年から2013年にかけて、テロ攻撃で亡くなった米国市民は、「312人」ですが、同じ期間に米国内で銃で殺されたのは「346,681人」で、銃はテロ攻撃の1,000倍の脅威となっています。
銃はテロの約1,000倍の人を殺している:WIRED.jp


グラフは、ニューヨーク・タイムズの記事によるものですが、先進国で100人あたりの銃の保持数(上のグラフ)と、10万人あたりの銃の死亡者数(下のグラフ)を見ると、アメリカはいずれもが突出しているのと、保有数されている銃の数が多ければ多いほど、犠牲者数も多いことがわかります。

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2015: The Year in Charts - The New York Times

そしてなんと、世界の人口の5%しかいないアメリカで、1996年から2012年までに世界で起こった銃乱射事件のうち、31%が米国で起きているというのです。
世界の銃乱射事件の31%が米国で起きている


そんなアメリカですが、しかし銃を捨てられません。これほど銃乱射事件が多発しているのもお構いなしに、今年から、1871年以来145年ぶりに武器を他人に見える形で携帯することをテキサス州は認めています。
米テキサス州、145年ぶりに拳銃の「オープンキャリー」が合法に | Reuters

日本の感覚からすれば、テキサスは西部劇時代に戻ったと感じますが、アメリカ脳では、銃による脅威が増しているので、銃を見せることが威嚇になって身を守ることができると考えるのでしょう。ちょっと理性がないというか、異常な感じがします。

アメリカ社会の真の脅威はテロ攻撃よりも、アメリカがいまだに銃社会だということです。さまざまなデータが物語り、また海外から見れば明らかなのですが、染み付いてしまった文化、銃の脅威は銃でしか守れないという思い込みからは、なかなか抜け出せないようです。

オバマ大統領の銃規制強化策がなんらかのカタチで効いてくることを祈るばかりです。


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