産経新聞の前ソウル支局長をソウル中央地裁が無罪としたことは当然の結果とはいえ、ほっとします。さて、その産経新聞ですが、夫婦別姓問題を取り上げ、「世論調査でも夫婦別姓導入の賛否は分かれ、仮に導入されても、別姓にしたいとする層は限られている」といった趣旨で、反対のポジションから記事にしていますが、別姓にしたい人が少数かどうかと、夫婦別姓を認めるかどうかとはまったく別問題ということが理解できていないのでしょうか。
しかもタイトルが、まるでタブロイドの夕刊紙のようだというか、趣味の悪い加齢臭が漂っています。
結婚控えたカップルは…「好きな人と同じ姓になれることがうれしい」 世論調査でも夫婦別姓求める声は限定的
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が12、13両日に実施した合同世論調査によると、夫婦別姓に賛成は51.4%で反対は42.3%。しかし、実際に別姓を選べるようになった場合、別姓を希望するかとの問いに、「希望する」と答えたのは13.9%だった。年齢別でも、これから結婚する層が多い20代でさえ21.1%にとどまった。
夫婦別姓に関する世論調査結果を紹介したのはいいのですが、別姓を希望する人が13.9%で少数だから、少数者は多数に従えというのでは、全体主義そのものです。この記事を書いた記者は、書いていて、なにか変だと思わなかったのでしょうか。

正論で議論したくないのか、ほんの一部の人の意見だけを取り上げ、情緒に訴えつづけているのですが、人権などとやかくいうよりは、変化を嫌う保守層に受ける記事にして産経のコアなファンに喜んでもらおうと意図的に書いたということでしょうか。

繰り返し言いますが、別姓にしたいと思っている人が多数かどうかなど関係ないのです。別姓にできないというのは先進国では日本ぐらいで、どうしても制度を維持したければ、もっと論理的に、なぜ問題なのかの説明が必要です。むしろ、世論調査で夫婦別姓に賛成だという人が反対を上回っていることは、「民意」のほうが健全だといえそうです。

最高裁も別姓が駄目だという判断ではなく、国会で議論すべき事案だとしていますが、ネットにでている産経新聞の記事では、それには触れていないので、報道としては失格です。それにしても最高裁も夫婦別姓を認めていない民法750条を合憲として逃げ、国会任せで決着をつけてというはどうなんでしょうね。

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