東京と大阪の維新の対立というか、抗争の行方を占ってみるのは興味深いところです。東京維新の実質的リーダーであろう江田憲司さんが、「個人商店」の哀れな末路を散々見てきた、渡辺代表が結局は姿を消してしまった「みんなの党」の終焉を重ねあわせ、ずいぶん強気な啖呵を切っておられるなあと感じていましたが、その奢りが判断を狂わせたのだと思います。
こうした党の原点、党是というものに、党所属議員は忠実であらねばなりません。維新の党は、年間26億円もの国民の血税が投入される「公党」です。私もこの維新の党の創業者の一人ですが、だからと言って、その創業者の「鶴の一声」「天の声」で、その政党が動くのであれば、それは国民に対して責任を持つ「公党」ではなく、「私党」「個人商店」でしかない。私は、40年近く、この政界を見てきて、こうした「個人商店」の哀れな末路を散々見てきました。最近では「みんなの党」の終焉が象徴的でしょう。
維新の分裂騒動へのお詫び・・・国民との約束=党の原点に立ち返る!

江田憲司さんや維新の執行部の人たちは、おそらく喧嘩の勝敗がなにでつくのかわからなかったのでしょうか。江田さんが維新の党の創業者だと主張しても、誰もそうは思っていないのが現実です。

政治だけでなくもうすこしマーケティング、あるは兵法でも学んでいれば、東京の国会議員の人たちが喧嘩するタイミングではなかったというか、まだ喧嘩をしかける力がなかったことは判断できたはずです。感情的になってしまい、冷静さを失ったのだと思います。感情で動くことは、まさに橋下市長の土俵での喧嘩、つまり相手の得意なスタイルに自らはまってしまったのです。

ニュースキャスターの長谷川氏が書かれていますが、10月15日の昼に「執行役員会」を開いて、162人という膨大な数の地方首長や国会議員、地方議員ら除籍してしまったことで、この勝負は終わっていました。30名に満たない国会議員が、党員の多数を占める162名のクビを切るというのは、クーデターの決行そのものです。巻き返しの格好の口実を自らつくってしまったのです。

保守とか革新という思想が、現実社会のなかでなんの意味も失った時代は、政治もしだいに「課題解決能力」で競うようになってきています。民主党の支持が回復しないのも、政権担当能力への信頼を損ねてしまったからです。政治を動かす能力を疑わせる稚拙なクーデターでした。

そもそも、こういった対立が生まれたのも、柿沢議員が党の承認をえないで、なんと大阪では激しく対立している民主党と共産党推薦の候補を応援に行ってしまったのですから、都構想を支持した大阪市民から見れば、とんでもない裏切り行為です。だから、そのクーデターに大義がありません。

いくら自由民権だ、なんだといっても裏切りはダメです。柿沢議員が「口汚い低次元の者」と罵る資格はとっくに失われています。こちらのブログが柿沢議員のものですが、「正義」は自らにあると自己満足しているだけで、何を主張したいのかもよくわかりません。
何者にも邪魔はさせない。そして口汚い低次元の者と同じレベルに落ちる事はない。

そして、いつも発言が上から目線に見えてしまい、ずいぶんイメージで損をしている江田憲司さんが、先を見通すこともなく、楽観的な判断で策に溺れてしまう号令を発してしまったのでしょう。

そして臨時党大会が開催され、議決権を持つ特別党員の過半数に当たる233人(委任を含めると287人)が出席し、解党が決議されました。郷原さんまでひきずりだして、党大会が違法だとしていますが、時すでに遅しです。政党の運営に関しては司法には、なじまない事案だからです。政党助成金も行き場を失います。

そして、いくら人気のある郷原弁護士を担ぎ出そうが、東京の維新の国会議員はこれで根無し草になります。支持する組織もなく、また地方にも拠点を持たない集団は、その時々の政治の風で漂流するしかありません。民主党にとっても、問題児を受け入れるメリットもなく、受け入れそうにありません。
行き場を失い、支持基盤のないままに泡沫政党として生きながらえ、国会議員の人たちが個々バラバラに選挙の禊を受けて生き残っていく姿しか想像できません。

大阪の維新側がこれからどうなるのかの鍵を握っているのは有権者です。府知事と市長のダブル選挙の結果次第です。もしいずれかで負ければかなり先行きは厳しくなります。溶解が始まります。ただ個々の国会議員が地元で支持を得るしかない東京の維新の議員の方々とは違って、まだ組織戦でダブル選挙に望めるだけマシかもしれません。努力次第になりそうだからです。

しかし、表向きは別として、実質は、自民、公明、共産、民主共闘体制と闘うことになり、おおさか維新にとっては、そうとう厳しい選挙になるのではないでしょうか。

野党のなかに、これといったリーダーが現れず、また野党が育つ流れがなかなか生まれない日本ですが、このままでは、権力の暴走の歯止めとなる装置やメカニズムを失い、大阪のように思想も理念も異なった人たちが目先の利益で野合を繰り返していくうちに、いつか危なっかしいことが起こりかねない怖さを感じます。


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