国内市場で最も勢いがあり元気な自動車メーカーといえば、どこが思い浮かびますか。そう、Zoom-Zoomのマツダです。そのマツダが次世代で後輪駆動に転換することを検討しはじめているといいます。マツダが独自の立ち位置をさらに鮮明に打ち出す動きにつながってきそうです。
マツダ、次世代で「FR転換」を検討 高級路線を推進  :日本経済新聞
国内でのマツダの好調ぶりは際立っています。国内の消費市場の停滞の影響を受け、1月〜9月までの国内自動車販売累計台数も、対前年同期比でマイナス5.7%と停滞しているなかで、マツダはなんと32.0%増で、売れ行きもZoom-Zoomの快進撃そのものです。

日本は横並びで、ユーザーにとっての新しい価値創造で競い合うというよりは、同じ土俵でライバルを一歩でも出し抜く競争に長い間のめり込んでいたのが、最近は、市場の国際化にともなって競争の舞台が広がり、いかに独自性を発揮できるかに移ってきていることを感じます。
とくに小さなメーカーのスバルの富士重工やマツダは、個性がなければ、ビッグブランドに飲み込まれてしまいます。もしかするとマツダがそのことを最も感じている自動車メーカーかもしれません。

スバルが、『クロスオーバーSUV』のセグメントに特化し、『4輪駆動』の強みを持っているように、『クリーン・ディーゼル』と『後輪駆動』でまた新しい市場セグメントが広がってきそうです。

さて、今の車は多くが前輪駆動車なので、後輪駆動といってもピンと来ない人がほとんどだと思います。前輪駆動の車しか運転したことがないという方もきっと多いのでしょう。
理由は、前輪駆動のほうが、後輪に駆動を伝える部品が不要となり、コストダウンできること、また室内の広いスペースを確保できることもあって、どんどん前輪駆動車が増えてきました。かつては前輪駆動はハンドル操作が重い、最小回転半径が長く、小回りが効かないという欠陥がありましたが、それも改良されてきたことも大きいのでしょう。

しかし「走り」でいえば、これまでの運転経験から感じるのはやはり後輪駆動車です。コーナリングもなめらかで、乗り心地もよく、今では高級車に限られていますが、「走り」の楽しさを訴えるマツダとしては、後輪駆動への移行は当然の流れではないでしょうか。

さて、VWのディーゼルのソフト不正操作発覚で、ディーゼルのイメージが悪化したことは否めません。マツダのディーゼルは触媒によるNOx後処理でない技術イノベーションを成功させた画期的なエンジンだとしても、その影響から逃れることができるのか、あるいは逆にチャンスとなるのかが気になるところです。

海外では、規制の厳しい米国でディーゼル車を売らなかったマツダは、正直なメーカーだとして再評価する声もあるとか。
今回のVWの不正事件を受け、「マツダは過小評価されているね。他のブランドになだれこんでVWのユーザーがマツダに飛びついてくれればいいのだが」「マツダは厳しい基準を理由に6ディーゼルをアメリカのマーケットには投入しなかった。今となっては彼らの正直者が明らかになったのだが」と、より厳しい排ガス規制を設けているアメリカでディーゼル車を販売しなかったことが不正をしていない証拠と指摘する声が上がっている。
ワーゲンのディーゼル車不正でとばっちりのマツダ「実は正直なメーカーだった」と海外の意見 - AOLニュース

愚直なまでに正直で、見えないところまで品質を極める姿勢が、これまでの日本ブランドの強みだったと思いますが、それにユーザーを惹きつける個性、独自価値創造のパワーが加われば、まさに鬼に金棒になってくるのではないでしょうか。


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