佐野研二郎さんへの攻撃がネットからマスコミに移ったようにも感じる今日このごろですが、もう止めませんか。個人攻撃からはなにも学ぶことができません。むしろ、問題に感じるのは、選考のあり方や問題が発覚した後の組織委などの判断のまずさや遅れ、さらに誰がさまざまな決定の最終権限を持ち、また責任を誰が負うのかがよくわからないことです。
今回の新国立競技場、東京オリンピック・エンブレムのデザイン選考で共通していているのは、デザイン案そのものの、選考方法、問題が発生した際の判断や対処のまずさが重なった複雑骨折、あるいは合併症だということです。また問題が起こってからの意思決定が遅れ損害が膨らむ結果にもつながっています。

2つのプロジェクトで、ほぼ同じように不具合が起こったとすれば、なにかその背景には同じ病根が潜んでいると疑うべきでしょうし、その潜んでいる怪物を明らかにし根絶しなければ、また同じ過ちが繰り返されるように感じます。

それに関して、気になるのは森喜朗さんが組織委の会長でいらっしゃるのですが、報道の取材に対しては強面で遮り、自らは関係がなく、むしろ迷惑を被っている側だという立場をとっておられるように感じることです。誤解でしょうか。

それが誤解だとしても、 組織委の会長として、このふたつの問題をどう受け止めておられるのか、また国民に対しての釈明なり、謝罪があってしかるべきです。しかも。ラグビーワールドカップ開催すら怪しくなってきており、そちらも協会の名誉会長でいらっしゃるのでなおさらです。

 国会議員はもう辞めて、頼まれたからやっているだけの名誉職だからそんな表の場にはでられない、発言する権限はないということでしょうか。もし、そうなら、即刻お辞めになるべきです。

実際はそうではないのでしょう。まるで金魚の糞のように森会長の側についてまわっている国会議員の方の姿を報道でよく見かけますが、まだ影響力をお持ちだからではないのでしょうか。

しかも、スポーツ報知のこの記事が気になります。森喜朗会長や武藤事務総長は、どうも対面にこだわり、案の白紙撤回を遅らせ、事態を悪化させたという声があがってきているようなのです。
森会長に責任論浮上!競技場に続きエンブレムも白紙撤回の事態に (スポーツ報知) - Yahoo!ニュース
自民党幹部や政府関係者によると、同党幹部や五輪関係者らが、佐野氏の“盗用”疑惑が浮上して以降、エンブレムを差し替えるよう組織委に再三にわたって警告していた。

 五輪関係団体幹部らは、独自にデザインアートに詳しい識者から意見を聴取。「今後のエンブレム使用は厳しい」との判断に傾き、組織委にも水面下で使用を やめるよう説得をしてきた。だが、森氏と近い関係にある武藤氏らが「1回決めたものを撤回すると、国際的な信用問題になる」と聞く耳を持たず、事態は悪化 した。

 森氏は五輪・パラリンピックのメイン会場となる新国立競技場の総工費膨張問題でも、全面見直しに向けた「最大の障壁だった」(自民党幹部)。

今回の重なった不祥事に潜んでいる病は、なにか日本の経済が長い間、時代の変化に対処できず、苦しんできた原因にも通じるのではないかとも感じるのは私だけでしょうか。

地位や立場を利用し権限は発揮するけれど、いざとなると責任を取らない、だからリスクに対する感性が鈍り、現状認識も甘くなる。それだけでなく、地位や立場を守ろうとするあまり、過去からの転換や現状を変えることを嫌い、危機対応のための行動を起こさない、また改革やイノベーションへのチャレンジの芽を摘み取る。そんな病がやがて明らかになってくるのかもしれません。


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