中国の「抗日戦争勝利パレード」に韓国の朴槿恵大統領が米国の反対を押し切って参加し、過去最大規模となる計156人の経済使節団とともに訪中するといいます。しかも呆れることに国連の潘基文事務総長が出席するおまけつきです。外交リスクを負っての訪中で、それに見合った成果を朴槿恵大統領は求められますが、あたかも韓国にも「抗日」の歴史があったかのような演出によって、ナショナリズムを煽り、自身の延命をはかること以外には期待できないのではないでしょうか。
朴槿恵大統領が期待していると考えられるのは、中国との貿易促進と北朝鮮問題での前進です。

まずは経済ですが、韓国の経済の減速状況の打開策として、中国に活路求めようというのは、極めて悲観的だと思います。

もともと中国と韓国は競合関係にある産業が多く、高度成長している間は、韓国からの輸出を吸収するゆとりが中国にはありましたが、中国の経済が減速してくるとそうはなりません。

しかも中国市場は、輸出加工のための中間財や副資材の輸入が停滞し、中国国内品に代替されはじめています。そして、衣類・化粧品・医薬品など内需型消費財の輸入が急増してきていますが、韓国の産業は化粧品以外は競争力が弱く、そんな変化に適応できません。

韓国にとっては輸出の花型で、中国市場を抑えていたスマートフォンですが、異変が起こっています。小米(Xiaomi )や華為(Huawei)が台頭し、高級機種ではアップルに押され、本年にはいって、サムスンのシェアは第四位に転落してしまいました。

中国市場で伸ばしてきた自動車も惨憺たる結果です。現代、起亜の中国での販売が、この5月から変調をきたし、両社の合計販売台数が対前年同月比で5月にマイナス9.9%、6月にマイナス29.0%、7月にはなんとマイナス32.7%と壊滅的です。中国の民族系、そしてとくに日本車の急激な販売台数増に押されたままです。

現代自動車グループは中国市場をテコ入れするために、製品を最大で30%以上値下げするそうですが、それは同時にブランドイメージの劣化と中古車価格も下がることを意味していて、今は昔話となってしまっていますが、かつての「マツダ地獄」と同じ悪循環にはまってしまいます。
韓国・現代自動車グループ、中国市場で30%超の値下げ・・地場メーカーと競争激化|中国情報の日本語メディア―FOCUS-ASIA.COM


それに今、中国は、輸出不振、バブル崩壊を思わせる株安など、経済の維持に必死でもがいているときに、韓国の経済を考えるゆとりはないはずです。
中国製造業景況感指数、3年ぶり低水準 8月は50割れ  :日本経済新聞

北朝鮮問題解決にむけた動きを従来以上に中国が積極的に行うのでしょうか。中国にとっては、国境線が不安定になることを避けたいので、北朝鮮を緩やかに植民地化し、経済を安定させるものの、政治的になにか新たに北朝鮮を刺激することは避けたいというのがホンネではないでしょうか。
中国・瀋陽から北朝鮮国境への高速鉄道が開通、経済関係を強化 | Reuters

結局は朴槿恵大統領の訪中は、中国にとっては米国をけん制する材料となり、好都合でしょうが、韓国にとってなんらかの利益があるとは考えづらいのです。

それぞれの国によって温度差があり、英フィナンシャルタイムズ中国版が、「中国の大国アピールと米国のアジア重視政策の衝突に加えて関係各国の戦略が入り乱れ、確執が生じている」とし、「米国は不安、日本は不服、中国は不満、ロシアは不虧(損することはない)」とは言い得て妙かもしれません。中国に不満があるとすれば、ほんとうに来て欲しかったのは韓国ではなく、欧米諸国の元首だったからでしょう。
中国・抗日戦争勝利軍事パレードめぐり米中日露「四国志」 | 朝鮮日報


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