韓国経済が厳しくなってきています。政府は15兆ウォンの対策を打ち出したようですが、韓国経済はあきらかに成長力を失いはじめています。なかでも、もっとも深刻なのは中国の韓国離れではないでしょうか。韓国は中国を自らの経済の成長を支える市場と見て、中国寄りの政策をとってきたのですが、状況が大きく変わり始めています。
さて韓国の経済ですが、貿易依存度が高いにもかかわらず、輸出にブレーキがかかってきています。過去10年以上、2桁台の伸びを示してきた韓国の輸出ですが、年初から減少傾向となり、期待された6月も前年同月から1.8%減少し、6ヶ月連続のマイナスとなり、1〜6月の上期合計でも、前年同期の5%減少となりました。円安・ウォン高と中国経済の減速の煽りを受けはじめているのでしょう。

国内の生産や消費もふるわず、生産の指標となる全産業生産指数は3〜5月に前月比でマイナスとなり、消費もMERSパニックで打撃を受け低迷してきています。

しかもギリシャ危機の影響も懸念材料となっています。ギリシャから受注した造船の支払いがされるのかどうかといった問題だけにとどまらず、ただでさえ韓国の株式市場では、企業業績の不振を受けて資金流出が始まっているところに、資本が世界資本のATMともいわれる韓国から、より安全な資産にむかって流出していくかもしれないのです。

中国の経済成長の鈍化で韓国の輸出が停滞しはじめているというだけでなく、中国はドイツと手を組み、韓国企業を市場から追い出し始めているとした韓国のハン・ウドク中国研究所所長のコラムが韓国メディアの中央日報に掲載されていました。

これは避けがたい大きな時代の流れだという気がします。このコラムが指摘しているように中国の国際分業のポジションが変化してきたからです。
過去30年間、中国の産業協力パートナーは日本・韓国・台湾の東アジア国家だった。これらの国で生産された部品を中国で組み立て、米国・欧州に売る分業構造だ。しかし技術レベルが高まった中国企業が部品を国内で調達し、この構造が崩れているところだ。
【コラム】ドイツと手を握った中国の革新、韓国企業を市場から追い出す(1) |中央日
 
韓国は最初は中国を「安い下請け工場」とし、つぎには「成長し続ける美味しい消費市場」と位置づけていたのですが、しかし気が付くと、中国企業が技術力を高め、家電や鉄鋼、また化学品、造船など、さまざまな分野で韓国と中国は競合関係にすらなってきています。中国のスマートフォン市場で、2014年第一四半期にはおよそ20%のシェアでトップに君臨していたサムスンが、2015年第一四半期にはシェアを10%以下に落し、アップルだけでなく、中国勢の小米(シャオミ)、また華為(ファーウェイ)に抜かれたことがそれを象徴しているようです。
Apple、中国スマートフォン市場でXiaomiから首位奪う──IDC調べ - ITmedia ニュース

中国が技術を求めてはじめている相手がドイツです。ドイツからすれば中国市場を制したいので、いずれにしても中国とドイツの蜜月が続きそうです。今年3月、7年ぶりにドイツのメルケル首相が来日しましたが、メルケル首相は2005年の首相就任以来、ほとんど毎年のように中国を訪問していることがそれを物語っています。

韓国は、こういった構造変化を読まずに、中国への接近をなりふりかまわずやってしまった感があります。そのツケが来ているということでしょう。現代は、世界の水平分業体制のなかで互いにどのような位置取りができるのかを考えなければ経済関係で齟齬が生まれてきます。長い目で見た損得勘定のセンサーを研ぎ澄まさないといけない時代にはいってきたのではないかと感じます。
「中国が超大国になる」と考える人の割合が日本は主要国で最低だそうですが、超大国かどうかは別にして、日本も中国も、どちらもが経済大国であることに変わりなく、互いに立場の違いにとらわれ過ぎると、もっと大きな利益を失うことになりかねないのではないかと感じます。
「中国が超大国になる」と考える人の割合、日本は主要国で最低 | THE PAGE


SFAによる顧客管理ならアクションコックピット
モバイルの活用がj広がる営業支援システム アクションコックピット