4月に予約が始まるアップルウオッチがどれくらい売れるのかも興味がありますが、それよりも気になるのは、先月ウォール・ストリート・ジャーナルが報じていたように、アップルが本気で電気自動車にチャレンジしてくるのだろうかです。
そういえば、グーグルが昨年末に、漫画の世界から飛び出してきたようでおもわず失笑してしまいそうな自走車のプロトタイプを発表していました。

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グーグル自走車の新しいデザインが公開 : ギズモード・ジャパン

さてさて、ポスト・スマートフォンの焦点は自動車に移ってくるのでしょうか。
ちなみに、ウォール・ストリート・ジャーナルの記事は、アップルが電気自動車開発に着手しているのは、かなり真実味があると感じさせるものでした。
複数の関係者によると、アップルでは数百人の従業員が自社ブランドの電気自動車の開発に向けてひそかにプロジェクトを進めている。プロジェクトのコードネームは「タイタン」。関係者の一人によると、当初の設計はミニバンに似ているという。
アップル、電気自動車の開発プロジェクト推進=関係筋 - WSJ

またギズモードが、これがアップルの自動車開発拠点のダミー会社ではないかという憶測の記事を書いています。
噂のEVタイタン開発拠点? アップルのダミー会社発見 : ギズモード・ジャパンl

さらに、電気自動車向けのリチウムイオン電池メーカーのA123 Systemsから人材の引き抜きで提訴される出来事もありました。
 米Apple、人材引き抜きで米EV電池メーカーから訴えられる:ITpro

それにしても、本当にアップルは電気自動車を開発しようとしているのでしょうか。

以前にも書いたことですが、グーグルにしてもアップルにしても、デジタル技術がはいりこんできている自動車のさまざまな制御の分野、また通信との連携などの新たな分野への進出を狙っています。カーナビと通信、エアコンなどの制御を融合させるOSの主導権争奪をめぐって、昨年春に、アップルはiOSのカーナビともいえる『CarPlay』を発表しています。グーグルも『Open Automotive Alliance』として旗を振り、さらにマイクロソフト傘下になったノキアも、『MirrorLink』で動いており、三つ巴の熱い戦いが始まってきています。

アップルが、横浜に日本でははじめてとなる開発拠点をスタートさせますが、アップルの動きに詳しい松村太郎さんは、その目的がヘルスケア分野での事業を推進するためではないかと推しはかっておられます。
アップル、横浜に研究開発拠点を置く必然 | 東洋経済オンライン
しかし、もしかすると自動車分野なのかもしれないと勝手に想像しています。いずれの分野であっても、日本に開発拠点を置くことが理にかなっているのではないでしょうか。

自動車開発は、そういったOSの新しい切り口となるコンセプトや技術を培うためにチャレンジしようとしているのか、はたまた本気で自動車そのものを狙っているのか、それとも二兎を追いかけようとしているのでしょうか。謎めいていて、それがわからないところが面白いといえば面白いのです。
焦点:開発進む自動運転車、米グーグルと自動車業界は「同床異夢」 | Reuters

しかし、冷静に考えれば、電気自動車はそうそう簡単に現在の自動車に置き換わるとは思えません。ネックは蓄電池の限界です。コスト、容量、充電に要する時間、いずれをとっても今の状態ではガソリンやディーゼル車、またハイブリッド車に代替できるものではなく、可能性があるとすれば、もっと限定された用途にむけたものでしょう。

畜電池のイノベーションはすぐにも実現できるように言っていた人もいますが、いまだに従来の自動車の代替を実現するレベルには達していません。集積回路上のトランジスタ数は「18か月(=1.5年)ごとに倍になり、そんな速度で性能が高まってくるという半導体でのムーアの法則のようにはいかないのが化学の世界だからです。

もしかするとアップルがM&Aで狙っているのではないかと噂されていて、電気自動車をビジネス・ラインに乗せたかのように見えたテスラ社も、イーロン・マスクCEOが、黒字化は2020年以降になるとの見通しを示したために株価が急落しています。
テスラ株が急落、マスクCEOの業績見通しを嫌気 - WSJ

グーグルの自走車に関しても、いくら技術が面白くとも、また実際に走行できようが、それを社会がこれまでの自動車と代替するものとして受け容れるには相当壁が高く、グーグル・グラスの二の舞いになってしまいそうです。

しかし期待したいのは、アップルやグーグル、あるいはマイクロソフトなどの、これまでの自動車産業のプレイヤーとは異なる分野の企業が競いあい、予期しなかった新たなイノベーションなり、再発明がもたらされることです。

電気自動車に関しては、電気自動車のレース「フォーミュラE」のチームを持っている英国のヴァージン・グループが電気自動車開発を本格化するのかもしれないという話もありますが、そんな道楽から飛び出してくるアイデアもあるのかもしれません。
英ヴァージン・グループが電気自動車開発を本格化か=報道 - ライブドアニュース



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