アマゾンが、サンフランシスコとロサンゼルスで、タクシーによる小包配達を試験的に実施しているとウォール・ストリート・ジャーナルが報じています。今や、インターネット通販の世界は、物流センターから家庭に届ける「最後のワンマイル」の配送の効率化や迅速化をめぐってさまざまな試みがなされていますが、面白いアイデアです。
米アマゾン、タクシー用いた配送を試験運用=関係者 - WSJ
EUで問題になった法人税回避はいただけないとしても、赤字になろうが、スマートフォンで大失敗して在庫が積み上がろうが、なにするものぞと、つぎつぎとチャレンジをつづけるアマゾンの野心や経営には好感が持てます。
大西 宏のマーケティング・エッセンス : 打ち砕かれたアマゾンの野望

アマゾンはおそらく物流にもっとも投資してきたネット通販企業でしょうが、それでも物流センターから家庭に届けるまでの「最後のワンマイル」は、利用頻度を高め、事業を伸ばしていく上での大きな課題になっています。

だから、無人ヘリコプター「ドローン」を使って、注文から30分以内に商品を届ける「Prime Air」構想を発表したりしているのです。
Amazon、ドローンでの配送サービス「Prime Air」構想を発表 - ITmedia ニュース

こちらは、ハッカーがシステムを乗っ取れば、まるでヒチコックの映画「鳥」のようにドローンが人を襲う、まるでSFの世界の光景を想像してしまいますが、どうなんでしょうか。アマゾンのSF的ドローンだけでなく、グーグルの無人自動操縦車も、ネット通販の「最後のワンマイル」での利用を想定しているのかもしれません。

しかし、今回のタクシーを使うというのは、もちろんどの配送方法にするかで、「数ある配達手段のうち配達時間が最も少なくコストが最も低いかを分析できる」システムが支えるとしても、タクシー・ドライバーが商品を届けるというアナログなところが愉快です。

しかもアマゾンは、先月発表した7-9月期決算で、過去14年間で最大の赤字に陥っていますが、その赤字をつくった最大の原因はスマートフォンの失敗によるものとしても、もうひとつの理由として配達費用が前年同期比32%増に急増してしまったことも響いているようです。アマゾンとしては、取扱量が増えれば増えるほど、配送コストが積み上がってしまう構図をなんとか改善したいところでしょう。

配送費用を効率化するためには、現実の世界では一地域内の利用者の増加が鍵になってきます。学生時代に百貨店の荷物の配達のアルバイトをしていたことがありますが、中元や歳暮の時期になると、軒並み荷物をとどけることになるので、時間あたりに配れる量がまったく違ってくることを身にしみて体験しました。

日本では、家庭やオフィスへの個別配送では、宅配便が普及してきましたが、宅配便は、どれだけトラックに荷物を載せて、距離で稼ぐという運送業のビジネスモデルを大きく塗り替え、一定地域内で、利用者が多ければ効率があがり稼げる「密度の経済」モデルを実現したイノベーションでした。

利用者を増やし、さらに利用頻度を増やせば、それが配送の効率性につながり、「密度の経済」効果がでてくるのですが、その利用者を増やす、利用頻度を高めるうえでも、配送のスピードアップが鍵になってきます。グルグル回っているようなパズルです。

これまで通販比率がいまひとつ低かったユニクロも、ダイワハウス工業と手を組み、独自の配送センターづくりを行おうとしているのも、商品を届けるまでの時間
を短縮しようという試みでしょう。

ネット通販も、サービスが広がり、利用者や利用頻度が増えるにつれ、それだけリアルな日常生活での顧客とのつながりが重要になってきます。そこに立ち現れてきた課題が、配送という極めてアナログなハードルです。

ネット通販の世界も、インターネットからさらに、バーチャルとかリアルとかいう境界線のない競技場に移り、複合的なビジネス競争の時代となってきたとつくづく感じます。

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