日本を標的にしたキャッチアップ戦略に成功し、成長力では日本を凌駕してきた韓国経済ですが、このところの不振ぶりが目立ちます。日本もかつては同じ道を歩み、次のステージにむかう転換が遅れてしまったために、長い経済停滞を余儀なくされてきましたが、韓国経済も出口が見えない状況に陥り始めたように感じます。
その兆候として、まずは経済が減速しはじめました。韓国メディア「中央日報」によると、韓国銀行が4日発表した第2四半期(4−6月)の国民所得統計では、名目で国内総生産(GDP)が前期比0.4%減だったようです。金融危機当時の2008年第4四半期(10−12月)に記録した2.2%減以来5年半ぶりのマイナスだとか。
他の報道では実質GDPでは前期比0.5%増となっていますが、いずれにしても成長に急ブレーキがかかったことには変わりありません。
韓国の名目GDP、4−6月は前期比0.4%減 朝鮮日報

もっとも大きな原因として考えられるのは、中国への輸出が減少してきたことでしょう。韓国の対中輸出が4カ月連続で減少してきています。
韓国の対中輸出、4カ月連続で減少: 朝鮮日報

もちろんウォン高や中国経済の減速も影響しているのでしょうが、それよりももっと大きな変化が中韓の経済関係で起こってきています。

それは、これまでは、サムスンを始めとした韓国経済を牽引してきたエレクトロニクス産業は、部材を中国に輸出し、韓国は中国を製造拠点として、中国経由でさらに海外に輸出するという流れを築いてきたのですが、国内産業を育成しようとする中国の動き、また中国企業の成長で、中国市場でも輸出でも中国企業と韓国企業が競合しあう関係になってきています。
大西 宏のマーケティング・エッセンス : 韓国の経済成長を中国が飲み込む時代の始まりか

スマートフォンで、中国では王者サムスンが小米(シャオミ)に首位の座を譲ったことがそれを象徴しています。

それはかつて日本が援助し、また製造委託していた韓国のエレクトロニクス産業がやがて日本のエレクトロニクス産業と競合関係にはいり、日本のエレクトロニクス産業に大打撃を与えたのと同じ流れを感じます。

つまり、一時的な問題ではなく、中韓の産業関係の構造的な変化が起こりつつあるということだと思います。

朴槿恵大統領は、中国経済の成長をとりこみ、伸び続けてきた対中国輸出をさらに伸ばすことが韓国の経済の成長エンジンとなると考え、中国との蜜月関係に走り、まるで反日戦線さながらに、告げ口外交を進めることが韓国の国益になると考えてきたのでしょうが、経済関係が変われば、政治関係にも大きく影響がでてきます。

中国と韓国の蜜月時代の終わりの始まりを予感させます。あるいは逆に韓国経済が中国に飲み込まれ、中国の韓国への影響力が高まるかもしれません。

中国が経済の次のステップに進もうとすると、韓国の産業や韓国そのものはあまり参考になりません。世界の製造を請け負うことによる成長から、イノベーションに照準が移れば、経済パートナーとして魅力があるのは欧米であり、日本になってきます。しかも輸出を考えれば、韓国市場よりも規模の大きな日本市場のほうが魅力があります。
中国、イノベーション時代の幕開けか - WSJ

国際関係は生き物ですから、どう転ぶかはわかりませんが、ベースとなる経済関係に変化が生じてくると、政治にもその影響はでてきます。つまりこの数年で、日中韓の関係も変化してくる可能性がでてきたということです。

中国があいかわらず、反日の強い姿勢を見せている一方で、このところ福田元首相はじめ、王毅外相と岸田外相の接触など、今年に入って閣僚級の接触だけでも5回を超えています。

中央日報はそれに触れ、韓国だけが取り残されることを危惧する北京特派員の記事を掲載していました。
中国には「山に雨が降る時は風が先に吹く」ということわざがある。誰か見ても最近の日中関係は風が、しかも強く吹いている。問題は、韓国だけが「まさか」と言いながらその風を知らないふりをすることだ。日本の歴史認識と慰安婦問題から一歩も出ていけない韓国の外交がまさにそうだ。日中の和解後、韓国の北東アジア外交における位置づけをどこで探すのか心配だ。
【取材日記】注目される中国の対日本伏線外交 :中央日報

そんなさなかに、中国南京市で8月28日に行われたユース五輪の閉会式で、中国の李克強首相がレーザー光線を照射されるという事件が起こっています。疑われているのは韓国の選手で、そのことが中国のネットユーザーたちを激怒させているようです。いやはやタイミングが悪すぎますね。
韓国選手、李克強首相にレーザー照射 中国から怒りの声殺到=中国メディア


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