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自動車にセンサーを搭載し、またシステムで制御する流れはどんどん進んでいくのだと思います。Googleいわく、「『人間のミスや無能さ』が交通事故原因の90%を占めている」ので、それを克服する技術は社会なニーズにもかなっています。
しかし、どう解決するのかで、ふたつの攻め方に分かれています。ひとつはGoogleが進めている「自走車」のコンセプトです。人の運転は信頼できないので、システムで人にかわって運転させる技術の追求です。

もうひとつは、今自動車メーカーが取り組んできている「運転支援システム」のコンセプトです。人がより安全に運転できるように、システムにサポートさせるというアプローチです。
スバルのアイサイトが、最近はレーンをはみださないことを訴求したCMを流していましたが、日本のメーカーが得意そうなアプローチ方法です。

遠い将来には双方が統合されるなり、目的別に棲み分けられるのかもしれませんが、現実的に使われ、車の安全性のアピールにも役立っているのが「運転支援システム」のほうです。

大風呂敷を広げて、あっと驚かせるイノベーションに賭けるのか、はたまた技術をすりあわせてコツコツ実用化の範囲を広げていくのか、このふたつのアプローチで、自動車に限っては、どうも後者のほうがものになっていくのではないかと感じます。

「自走車」のほうは開発が進めば進むほど新たな課題がでてきて、果てしなく開発が続きます。「完全に」安全でない限り社会が認めないということも十分予想できます。

一方の「運転支援システム」も、まだまだ取り組むべきことが多いと感じます。言いかえれば技術開発の機会が多く、ひとつひとつの課題をクリアし、改善を積み重ねて完成させていくことができます。

たとえば、教習所で内輪差の話を叩きこまれた後遺症なのか、左折の際にいったん右に膨らんで左折するドライバーが結構いらっしゃいます。右側を並走していると突然ぶつかりそうに近寄ってくるのでヒヤッとさせられます。左折のためのアシスト機能もありかもしれません。
高速での逆走防止とか、運転席でアルコールを検出するとエンジンがかからないとか、運転中にハンズフリーではなく、携帯やスマホを使うと大音量で警告が発せられるとか、挙げていけばきりがないほどあります。

このまえ、Googleが法定制限速度よりも時速10マイル(約16km)オーバーで走るようプログラムが変更され、その賛否をめぐって熱い議論が交わされていて、もしGoogle自走車がそれでネズミ捕りにひっかかった場合には、誰に違反切符が切られるのだろうかと冗談を書きましたが、人の判断の複雑性をどれだけ取り込めるのでしょうか。
大西 宏のマーケティング・エッセンス : Google自走車の走行速度変更で感じるドライバーの判断の複雑性

その記事に追い打ちをかけるように、さらにGIZMODEでGoogleの自走車の面白い記事がありました。記事によると、マサチューセッツ工科大学が、Google自走車をレヴューし、まだクリアできない点に焦点をあてたレポートを出していて、それによるとGoogle自走車は、道路に出るためにクリアすべき免許の試験に、現段階ではまず受かることはないというのです。
グーグル自走車が「まだ」できないとてもシンプルなこと:GIZMODE

なるほどねという印象を受けます。

もしGoogle自走車が工事中の道路で、横に迂回道路が設けられていた場合どうするのでしょうか。Googleのデータにはその迂回道路がありません。しかも山間部に行けばよくあるシーンですが、たいてい警備の人が旗を振って誘導しています。ところがGoogle自走車は人の認識に弱いというのです。
もし工事中の道路にまっすぐ突き進んで、警備の人をはねてしまったら、もうこのプロジェクトはアウトです。
たまに道路には落下物があります。普通は車が損傷しないようにそれを避けて通るのですが、どうもGoogle自動車にはそんな芸当はまだ無理なようです。

さあ、高い理念やゴールを掲げて、一足飛びにあっちの世界に行こうとする、まるでウサギさんのようなGoogle自走車と、一歩一歩課題をクリアしながら、着実に進んでいくまるでカメさんのような「運転支援システム」。ゴールにどちらがさきに到着するのか、この競争が楽しみです。もしかするとGoogleがほんとうに狙っているのは「自走車」ではないのかもしれませんが。

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