マイクロソフトが12インチの大画面タブレットSurfaceProで攻勢をかけ、それを追うようにサムスンも12.2インチ画面のNotePROとTabPROの発売を開始しましたが、続いてアップルも12.9インチのタブレットをを2015年1-3月期に発売する準備を進めているとブルームバーグ・ニュースが報じています。
アップル:12.9型のiPad、来年初めの発売で準備中−関係者 - Bloomberg
選択肢が広がるので歓迎するむきもありますが、疑問の声も当然でてきます。それではPCとタブレットの境界線が曖昧になってしまうとか、大画面化すると携帯性が落ちるというものです。
大型iPad 12.9インチ、IT業界の評価いまいち―アップル開発中 - WSJ

しかし、タブレットとPCの境界線がどうかよりも、現実に起こってきたのは、むしろスマートフォンの画面が大型化してきたために、スマートフォンとタブレットの境界線が崩れた影響のほうです。

これまで急成長してきたタブレットですが、今年にはいって異変が起こりました。2014年第1四半期(1〜3月)のタブレットの世界出荷台数がはじめて前年を割ったのです。理由は、iPad MiniやNexus 7 などの小さい画面のタブレットが、大画面のスマートフォン、いわゆるファブレットとの競合が起こり、スマートフォンに市場を奪われてきた結果です。

普通に考えて、スマートフォンの画面が大きくなってくると、ニュースを読むにしても、SNSをするにしても、ゲームを楽しむにしても十分に機能するので、わざわざ小さい画面のタブレットをもう一台持ち歩くということにはなりません。

タブレット市場は、もちろん一般向けの需要もまだまだ伸びていくのでしょうが、まだまだ将来が期待できるのはビジネスでの利用です。ビジネス利用を考えると、プレゼンテーションに利用するにしても、業務で使うにしても、ネット会議で利用するにしても、大画面化の流れが当然起こってきます。

PCとの境界線は画面サイズではなく、もっとも大きいのは価格ではないでしょうか。携帯性ということでは、現在、MacBook Airの13インチを使っていますが、不便を感じたことはなく、PCよりも軽くて薄ければいいのではないでしょうか。
電池が長く持ち、電源を持ち運ばなくともいいとなれば、携帯性も向上します。

しかも、長期トレンドで見れば、タブレットの性能はどんどん向上し、しかもインターネットでさまざまなアプリケーションやシステムを利用するクラウド化が進んでくるので、PCとの境界線はあまり問題にはなりません。

むしろ広がっていく用途に応じたサイズや、形状、また特徴、さらにアプリを提供していくことが常識的な製品戦略になってきます。

とはいえ、常識的な戦略では市場に順応する戦略をとることになり、アップルの独自性が失われてしまいます。誰に対して、なにに焦点をあてて、どのような切り口で、大型iPadを打ち出してくるのかに俄然関心が移ってきます。

正攻法で考えれば、ビジネスユースに照準をあて、マイクロソフトのSurfaceProにぶつけるということになってくるのでしょうが、それはSurfaceProをかえって目立たせ敵に塩を送るということにもなりかねません。

長い目で見れば、どんどんPCとタブレットの境界線を崩していくことで、マイクロソフトの牙城となっているPC市場のタブレットによる侵食が加速されます。マイクロソフトの牙城であるPCから、アップルが先行し、強いモバイルに焦点を移していこうということかもしれません。
そうだとすると、もしかすると意図的にPCとタブレットの境界線を崩すために、OSも、iPhoneやiPadの”iOS”とMacの”OS X”のいずれもが使えるとか、それらをかけあわせた新しいハイブリッドのOSになってくるのかもしれません。

しかし、アップルの独自性を貫こうとすれば、SurfaceProとは異なるひとひねりが必要になってきます。それはポジショニングにかかっていると思います。ビジネスユースに的を絞れば、ネーミングは、無難なところでは、iPad Proになってくるのでしょうが、アプリを含め、どんな切り口を見せてくれるのかに期待したいところです。


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