IDCが、2014年第2四半期のスマートフォンとタブレットの出荷台数とシェアを発表しています。アップルはいずれの市場でもシェアを落としたことはとくに驚くことではありませんが、予想されたこととはいえ、サムスンがこのふたつの成長市場でシェアを落とす事態を迎えたことが意味するところは大きいと思えます。原因は中国製品の台頭です。
サムスンは営業利益の68%をスマートフォンやタブレットなどのIT機器で稼ぎ、またモバイル向けの半導体などを合わせると、モバイル関連で営業利益の81%を占めているために、スマートフォンやタブレットの事業の変調が経営にもたらす影響ははかり知れません。

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サムスンが発表した第2四半期の業績予測は、売上高は9.5減、営業利益は24.5%減で、3四半期連続の減益となる見込みだそうです。
サムスン電子の第2四半期営業利益は24.5%減、2年ぶり低水準 | Reuters

とくにスマートフォンでは、サムスンはシェアだけでなく、出荷台数も前年同期の7,730万台から7,430万台へと減少しています。スマートフォンで著しく出荷台数を増やしたのがHuawei(華為)です。前年同期から2倍近く増え、シェアが6.9%に達してきました。タブレットでは伸びてきているのが、Lenovo(レノボ)です。アップルが出荷台数を落し、サムスンが頭打ちとなるのとは対照的に前年同期から出荷台数を64.7%伸ばしています。

どのような競争環境の変化が起こって来ているのでしょうか。その変化がもっとも端的に現れてきているのが中国市場です。
もともとは中国市場といえば、サムスンの牙城でした。しかし今では、サムスンは、上位機種ではアップルの壁が立ちはだかり、下からは価格競争力のある中国メーカーの台頭で牙城を崩されてきています。

中国市場は、多くの専門家が、上位機種にこだわり、価格が高過ぎるアップルは売れないだろうという予想を裏切って、4〜6月でiPhoneの中国での販売が倍増したといいます。ブランド好きの中国では、サムスンがいかにブランド力があるとはいえ、アップルにはかなわないということでしょう。しかも、ただハードを売るだけのサムスンは、アンドロイドである限り、中国メーカーとは差別化ができません。しかし、アップルは、中国国内には、App Store向けにアプリを開発する約15万人のプログラマーが存在することも強みとなってきます。
モバイル市場に「中国サプライズ」、アップルとサムスンに明暗 | Reuters

今は中国企業が主戦場としているのは中国ですが、海外市場を狙わないわけがありません。世界市場、とくにこの分野での成長が期待されている途上国市場では、サムスンが中国企業との競合の脅威に揺さぶられることは誰もが予測できます。

こういったサムスンを襲う競争環境の変化によって、サムスンの経営にも陰りがでてくることは嫌韓派のひとたちが喜びそうですが、むしろ同時に、日本の経営戦略への警鐘でもあるということです。

サムスンの経営戦略は、ある意味で日本の家電の経営戦略をブラッシュアップし、パワーアップしたものです。規模と市場シェアを追求し、そのために製品ラインアップを広げ、またマーケティング投資で圧倒しようという発想は、まるで日本の高度成長期の家電メーカーの戦略そのものといえます。

サムスンの変調は、日本の経営、ビジネス戦略のあり方、いまだに「製造業の古い価値観」から脱却でききれていない日本への警鐘だと受け取るべきなのです。古い製造業の価値観で今日の競争環境に耐えることのできる分野はしだいに限られてきているというのが現実です。だから、世界市場の日本製品のシェアが落ちてきているのです。
日本の家電、あるいは多くの企業が、そういった「製造業の古い価値観」からほんとうに脱したのでしょうか。そうは到底思えません。製造現場と同じ発想で、働いた時間が報酬の基準となる人事制度がいまだに残っており、結果として開発や技術、あるいはマーケティングのスペシャリストの待遇が世界的に見て低いという実態のままなのです。それを変えようとしても、労組、マスコミがこぞって反対します。

それにしても、韓国は歴史問題、慰安婦問題で中国との共闘を行なっていますが、経済では、このスマートフォンやタブレットに限らず、中国は韓国にとって稼がせてくれるおいしい存在から、競合しあう怖い存在になってくることは間違いないのではないでしょうか。

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