歴史が大きく動く瞬間なのでしょうか。習近平主席の訪韓によって中国と韓国の蜜月関係がさらに深まり、北朝鮮が異例の特別調査委員会を設置し、拉致問題などの解決への姿勢を示すことで北朝鮮が日本に急接近するという前代未聞の流れになってきました。しかし考えてもみれば、ある意味で必然的な動きとも言えるのかもしれません。
中国の習近平主席の訪韓は、レイムダック状態に陥りかけていた朴槿恵政権にとっては、窮地から救われるまたとない出来事です。習近平主席もそんなタイミングを狙ったのでしょう。
セウォル号の事故によって支持率が低下し、さらに責任をとって辞任した首相の空席を埋めるために指名した候補も相次いで辞退し、結局は辞めたはずの首相が留任となるなど、人事も混迷し、またセウォル号の事故以降は、反日カードも以前ほどは効かなくなっていました。
また韓国とっては、経済の成長鈍化の先行き不安があり、停滞する欧米の市場にかわって成長の糧となる中国市場で、さらに輸出を伸ばしていきたいという思いは強く、中韓が蜜月時代に入ることは願ってもないチャンスに映るのも無理はありません。

中国は中国で、北朝鮮の属国化で失敗し、北朝鮮での中国派の大粛清によって中朝の関係が切れただけでなく、南シナ海ではベトナムとの緊張の高まり、さらに日米関係の分断も思惑外れとなって、こちらも孤立化の恐れもありました。韓国との関係を深めることで孤立化は避けられます。

ただ、経済でいえば、中国の内需を取り込みたいという韓国の思惑は、その通りになるとは限りません。中国との貿易が増加することは、中国経済への依存度がさらに高まってきます。中国の内需を取り込もうとのめり込み過ぎると、韓国そのものが中国に飲み込まれてしまうことにもなってきます。

しかも今、韓国経済の成長エンジンである液晶テレビやスマートフォンなどで、今後は中国企業がサムスンやLGを脅かす存在となってくる可能性が高いのです。スマートフォンでは、中国の小米(シャオミ)が、2014年上期出荷台数は前年同期の約4倍の2610万台という「光速」の急成長を示しています。
中国スマホの小米、「光速」の急成長 | ロイター | 東洋経済オンライン |

この小米(シャオミ)が日本円で約65,000円という低価格な49型4Kテレビを発表し話題となっていましたが、さらに液晶テレビで成長が著しい中国のTCLが50インチの4Kテレビを、1台わずか1000ドル(約10万円)で発売するなど、こういった企業の追い上げや競合が避けられません。

王者サムスンやソニーも真っ青?1台10万円の4Kテレビの衝撃|週刊ダイヤモンド

しかも、韓国ブランドが人気があるのは、ハイテク製品に限られているようで、消費財一般では、日本製品や台湾製品のほうが人気が高いという状態では中国の内需頼みも絵空事になりかねません。韓国の中央日報がそれについて触れています。
足下の火は中国内需市場攻略だ。毎年増える韓中間貿易規模は昨年2290億ドルに達した。しかし中国市場でシェア1位の韓国消費財は2010年の96品目から昨年は66品目に減った。民族感情面で韓国より不利な日本製品の165品目に比べ半分にも満たない。台湾の79品目よりも少ない。消費市場に食い込めなければ韓中自由貿易協定(FTA)の効果も半減するほかない。
世界の市場となった中国、韓国ならではの商品を売らねば(2) | 中央日報

さて北朝鮮は、拉致、また特定失踪者などの解決に本気だという姿勢を示してきています。北朝鮮にとっては、習近平主席の訪韓は、中国から三行半を突きつけられたも同然で、「脱中国」を急がざるをえません。おそらくロシアだけでは中国が抜ける経済の穴を埋められそうになく、頼みを日朝関係改善に求めるというのも頷けます。

背景を考えると、なにか古代の倭国と半島の新羅、百済、高句麗と中国の唐の勢力ブロックをめぐる外交を彷彿とさせますが、おそらく、拉致問題解決はかなり前進するという感触を安倍内閣は握っているのだと思います。

安倍内閣にとっても、拉致問題の解決は支持率を再浮揚させます。しかも安倍内閣の外交力を世界にアピールもできます。

あとはどれだけ北朝鮮が誠意を見せるのかにかかっているのでしょう。中途半端な幕引きでは、北朝鮮が得る成果が小さいことは北朝鮮もわかっているはずです。日朝関係が改善され、さらに、アジアの不安定要因としての北朝鮮の核問題も解消されることも期待したいものです。


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