なにか3Dプリンターについては誤解が多いように感じます。なんでも成形できてしまい、もう金型もなくなり、それが製造に大きな革命をもたらすという類のものです。いやはや、まいったなという感じがします。ブロゴスに載っていたブログを見ると、SBIホールディングス代表取締役の北尾吉孝氏も誤解されているようです。
『「3Dプリンター銃」に思う』
3Dプリンターで拳銃をつくった人が逮捕されました。しかし3Dプリンターで拳銃がつくれ、実弾を発射できることは、もう低価格の3Dプリンターが登場した最初のあたりでYOUTUBEに登場していたので、さほど驚きはありません。このブログでも昨年にはそれに触れています。銃に関しては、銃刀法で日本は厳しく規制されているので、拳銃のプログラムの販売や供与を規制するぐらいの法改正で済む問題ではないでしょうか。

拳銃がつくれることよりも、3Dプリンターで金型がなくなると誤解している人が結構いらっしゃることのほうがむしろ驚きです

金型がなくなるという誤解は、「量産」という視点が抜け落ちているからだと思います。同じものをつくるにしても、金型をつかって成形するのと、3Dプリンターでは製造速度に決定的な違いがあります。それは生産能力に、つまりコストにも大きく影響してきます。大量生産ができる3Dプリンターもやがては生まれるのかもしれませんが、どの技術をつかうかは、適材適所であって、生産技術の選択肢が増えるということだと思います。

しかも3Dプリンターでなんでも作れるというわけにはいきません。少なくともパソコンもスマートフォンもつくれません。以前にブログで書いたことです。
繰り返し申し上げます。3Dプリンターでなんでもつくれるわけではありません。

では3Dプリンターは趣味の世界にとどまるのでしょか。それも違うと思います。趣味でアクセサリーなどを自宅でつくれるというだけではなく、もっと大きなインパクトをもたらしてくると思います。

まずは、量産を必要としない、しかも独自の用途や仕様にあわせたものが精巧に、しかも容易に作れるようになってきます。骨とか歯とか、医療用の分野での応用が、その典型かもしれません。補修にその部品一個だけが欲しい、しかし簡単には手に入らないという場合にも使えそうです。

つぎに試作モデルが簡単につくれ、低価格化し、スピードアップしてきます。デザインや設計の試行錯誤の自由度が高まってくるということです。図面だけはわからない問題も、立体化してはじめてわかってくることが多いことはいうまでもありません。

こういった応用例はどんどん広がってくるのでしょう。

それよりは忘れてならないと思うのは、素人や他業界の人が、ものづくりに参加できやすくなってくることです。
いまでもマニアの人は、なんらかのカスタマイズをして、より使いやすくしている人がいます。釣具などの世界はその典型かもしれません。3Dプリンターは、そんな人たちの「できること」をさらに広げ、いいアイデアであれば、企業がそれを採用するという可能性がでてきます。場合によっては起業のハードルも下げます。
この流れは、「イノベーションの民主化」ともいわれていますが、開発する人と消費者の厳然とあった境界線の変化を加速させることになってくると思います。



カタチがつくる自由度が高まるということではアルミなどの削り出し技術で、スマートフォンやカメラなどのボディをつくったり、結構面白いスマホケースなども登場してきています。こちらは自宅でというわけにはいかないでしょうが、また金型も、3Dプリンターではなく、3D技術によって金型をつくる時間をどんどん短縮していこうという技術の流れがあります。重要なのは、3Dプリンターだけでなく、3D技術なのかもしれません。


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