ソフトバンクの孫社長が決算説明会で、インターネットの世界は、欧米からアジアに中心が移ってくると情熱的にプレゼンテーションされたオンデマンド配信の画像が未だに記憶に鮮明に残っています。そのアジアのインターネットを牽引する代表的企業のひとつ、中国のアリババが米国で上場を申請しました。ハイテク企業ではFACEBOOKを凌ぐ超大型のIPOになるといわれています。そしてアリババ・グループの筆頭株主であるソフトバンクへの影響にもとうぜん関心が高まってきています。
中国アリババが米上場申請、ハイテク関連で過去最大規模との見方 | Reuters
日本国内は別として、世界のインターネット通販の王者といえば誰しもアマゾンを思い浮かべると思います。確かにアマゾンの2013年の売上高は約7兆円規模、さらにマーケットプレイスを含めた取引額では11兆円を超え、第二位以下の米国のネット通販企業10社の売上高を合計してもアマゾン一社に届かないガリバー企業です。しかし、それは中国を除けばの話。

傘下に「淘宝網」、「天猫」など3つのネット通販サイトを抱えるアリババ・グループの2013年の取引額は約25兆2000億円といいますから、アマゾンの2倍以上の規模で、しかもアマゾンを上回る勢いで成長してきています。昨年の10-12月期には取引高が前年同期から53%も増加したのです、成長速度も2倍以上になってきたことになります。
アリババ、米国でIPOを申請―上場は夏後半以降か - WSJ.comhttp://jp.wsj.com/article/SB10001424052702304555804579546280163869674.html?mod=WSJJP_hpp_RIGHTTopStoriesThird

中国のネット通販市場は急成長してきています。2016年には小売業のネット通販比率が、10%超に達するという予想もあって、アリババ上場によって、さらに中味も進化していく可能性を秘めています。
アリババ、11日の取引額最高 ネット通販5700億円 :日本経済新聞

おそらく中国では、経済や消費の伸びに実際の店舗を持つ流通業の成長が追いつかず、それを埋めるように一挙にネット通販が伸びてきたのだと思います。途上国では、産業がまずは軽工業から重工業に、そしてハイテク産業に段階を追って進化するという構図は今日は崩れていますが、流通業でも同じことが言えそうです。

さて、アリババ・グループは、ソフトバンクが2000年に2000万ドルを投じたために、現在の出資比率は36.7%と筆頭株主になっています。先見の明があったということですが、そのアリババの上場は、かならずしもソフトバンクにとっては手放しで吉とはいえないかもしれないとロイターがコラムで指摘しています。
アリババ株の売却で、莫大な資金を得れば、ソフトバンクの財務は改善しますが、しかし逆にアリババが未公開株であるためにソフトバンクを通して投資するというソフトバンクの魅力がなくなってしまうために、時価総額経営を行っているソフトバンクにとっては、諸刃の刃だというのです。
コラム:アリババ出資、ソフトバンクには「諸刃の剣」 | Reuters

さてどうなるのでしょうか。買収した米国のスプリントもまだ赤字が縮小した程度で、未だに目に見えた成果がでていません。4位のTモバイル買収が鍵となってきていますが、まだ見通しはついていないようです。国内での携帯の契約数も減速気味になってしまいました。しかしタダでは転ばないソフトバンクの孫社長のことですからまた新たな仕掛けを考えているのかもしれません。
ソフトバンク傘下の米スプリント、第1四半期は赤字縮小 | Reuters

ソフトバンクに期待したのは、国内というよりは海外展開で、アリババ上場をバネにして、さらに面白い展開がはじまればと感じます。


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