8億円の借金問題で、渡辺代表は議員や党代表辞職などは否定していますが、みんなの党では、ついに渡辺代表辞任を求める声があがってきました。借りた時期、また貸主のDHC吉田会長のお話からすれば、「かなり大きな熊手」ではなく、「かなり大きな餅」に化けていたんじゃないかと世間が疑うのも無理ありません。
【8億円借金問題】「渡辺代表は即刻、辞任を」 みんな最高顧問が要求 - MSN産経ニュース
時事ドットコム:8億円は選挙資金=証拠メール存在、渡辺氏に辞職促す−DHC会長
さて、みんなの党は、「脱官僚」「地域主権」「生活重視」実現の高い志をもって旗揚げされた政党でした。ビジネスの世界に例えれば立派な起業だったと思います。最初は規模としては商店でしかないのはスタートアップとしてはしかたないとしても、やがて志が大きく変節してしてしまったように感じます。今では生き残りのために、与党化、つまり自民党の「下請け政党」化の道をまっしぐらという印象すら受けます。 おそらくこういった基本的な立ち位置の変化が生じてきた原因のひとつには、資金の問題があったのかもしれません。
 借金は2.5億円が返済されたといいますが残りは滞っているようです。渡辺代表は政党助成金は返済には使えないものの、国から政党に支給される立法事務費は借金返済の財源になり得ると言っておられます。1人当たり月額65万円。お金には色がついていないので、その範囲の金額で返済するということでしょうか。

現在「みんなの党」は、「結の党」との分裂で議員数が減り、衆議院議員9名、参議院議員13名ということになっています。それで単純に掛け算すると最大で月14,830万円の返済が可能になってくることになってきます。利息なしで毎月返していけば3年半程度で返済は可能ですが、本当にそれできちんと政党活動をやっていけるのかという疑問と、それもなんだかなあと感じてしまいます。 「結の党」に参加した比例代表選出13議員の会派離脱をみんなの党が認めず泥仕合になっていることでいることも資金繰りが厳しくなってきていたことが背景にあるのでしょう。
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返済と政党活動を両立させるためには、寄付金を集めることでしょうが、それで個人で借りたものを返済することができるのかどうかはわかりませんが、すくなくとも資金はできます。

そうなってくると与党に潜り込んだほうが得策と考え、与党の「下請け商店」化へ舵を切つたのかもしれません。あくまで憶測の域はでず、違うのなら大いに結構なことですが。 あるいは、与党の「下請け商店」化は、渡辺代表の「商店経営」感覚そのものにも原因があったのかもしれません。みんなを束ねるには理念やビジョンが欠かせませんが、それで政策方針、与党とのスタンスを論じていたら決定のスピードが鈍ります。

 しかし所属議員を資金とオヤッサンの人柄や顔で縛るということも可能で、そのほうが現実への適応力が高まります。ただ、商店主のその場その場での判断や思惑、また情で方針が変わってしまうという問題もでてきます。おそらく安倍総理はかつての戦友でもあったということもあったのかもしれません。 それにしても、政党の資金管理を代表が握って誰にもわからない政党というのは異常でした。透明性がなく、商店のオヤッサンの思惑次第で運営まで決まってしまうということになります。それでは誰もオヤッサンには逆らえません。逆らえば、下手をすると活動資金が断たれます。 「結の党」の柿沢議員のこのふたつのツイートがそれを物語っているようです。

しかし苦労人の起業家であるDHCの吉田会長は、みんなの党の自民党の「下請け」化を許せなかったのでしょう。渡辺代表からすれば、今回の借金問題の発覚は寝耳に水だったのでしょうが、8億円を貸した主旨とはあまりにも違った道を渡辺代表は選んでしまったのだから吉田会長が怒るのも当然だと思われます。渡辺代表が起業家を軽く見過ぎたツケだったのではないでしょうか。
DHC会長「渡辺氏はウソつき」 みんな、維新…「責任野党」が総崩れ (1/2ページ) - 政治・社会 - ZAKZAK

さて渡辺代表はどうなるのでしょうか。地検特捜部はどう動くのでしょうか。猪瀬前都知事よりもはるかに大きな借金です。動かなければ世間が納得しません。 ただ、郷原弁護士によると、猪瀬前都知事の場合と違って、使途が誰のどの選挙に対するものだったのかを特定できなければ、公職選挙法、政治資金規正法違反での立件はかなりハードルが高いそうです。
 渡辺喜美代表への資金提供問題、誰のどの選挙の資金なのか | 郷原信郎が斬る

東京都の市民団体代表が東京地検特捜部に公職選挙法違反罪などで、渡辺代表への告発状も提出されています。さて特捜部は降って湧いた問題にどう対処するかが注目されてきます。

 しかし、起訴されなくとも渡辺代表の信頼はすでに大きく傷ついています。それはみんなの党にも大きな傷になり、政党の生命そのものにもかかわってきます。政党を維持したいなら、自浄能力を発揮して、代表を解任するしか道はないのかもしれません。 しかしそれも、いろいろと代表から支援を受けていたとすれば道にはずれます。みんなの党のみなさまきっと頭を抱えておられるのでしょうが、決断のタイミングを失うとそれこそ命とりにもなりかねません。 渡辺代表は、28日は体調不良を理由に衆院本会議を欠席し、また気仙沼での講演もキャンセルしています。今後、代表は「針のムシロ」に座らされる状態に陥り、機能不全に陥ることは避けられず、それが代表解任の理由になってきそうです。
 気仙沼市へお詫び出張

さて野党代表といえば問題児がもうひとりいます。維新の石原代表です。国会でも代表質問どころか、安倍内閣を持ち上げる発言を繰り返し、野党代表の役割、与党の政策のチェック機能をまったく果たしていません。 NPO法人「万年野党」が国会議員、関係省庁職員や元職員、政策専門家、一般有権者で評価する、国会議員の質問の「質」の『国会議員質問力評価』とうのがあることを現代ビジネスの記事で知りました。その国会議員質問力評価』の2014年の中間速報で、70名中で石原代表が最下位だったというのも頷けます。 ちなみに、トップは自民党の塩崎さん、2位が共産党の小池さん、3位が先のツイートの主である結の党の柿沢さんです。

また政党ごとの平均点は、1位が結いの党、2位がみんなの党と共産党でした。維新の会は相当石原代表に足を引っ張ってられ評価を落としているのでしょう。
 2014年国会議員の「質問力」ランキング。中間速報1位は塩崎恭久氏、最下位は石原慎太郎氏  | 「万年野党」活動日誌 | 現代ビジネス [講談社]

もし政党政治をめざすのなら、自民党が内部での議論が自由で闊達な党だとしても、その中味は国民には見えてきません。健全な野党を育てることが、開かれた政治を実現できます。そのためには野党再編が鍵になってきますが、その流れは渡辺代表や石原代表が退場すれば玉突きのようになって、加速してくるのではないでしょうか。

もうひとつの選択肢は、政党政治ではない道を選ぶことです。もはや「右」か「左」かの決め打ちではなんら前向きな課題解決につながらない時代になってきています。そんな決め打ちは、中国と韓国、さらにいえば共産党とネオウヨに任せ、国会議員は、政党ではなく、人物本位で選ぶ中選挙区制度に戻すことでしょう。成熟し、多様な価値観が世の中にあることを考えれば、そのほうが合理性があるかもしれません。その際は、国会採決は、所属政党による党議拘束を禁止することも必要になってきます。しかし、そちらに戻すというのは非現実的なので、やはり政界再編によって、健全な野党が形成されることに期待したいところです。