アップルがCarPlayを発表し、またグーグルもアウディやGMなどとAndroidを自動車に搭載することを目的とした企業連合を結成し、いよいよアップルやグーグルのダッシュボード争奪戦が始まりました。ダッシュボードの先には車のOSがあるのでしょうが、もしかするとこのチャレンジに立ちはだかる壁は結構高く、手痛い目にあうこともあるかもしれません。
アップルとグーグル、モバイル技術を自動車へ ただし、自動車大手はダッシュボード死守の構え:JBpress(日本ビジネスプレス)
アップルとグーグル、モバイル技術を自動車へ ただし、自動車大手はダッシュボード死守の構え:JBpress(日本ビジネスプレス)
さて、車の今の車載ナビは、ブルートゥースでスマートフォンとつながり、ハンズフリーで電話ができたり、音楽を楽しんだりできるものが多いと思います。そんなナビを使っていて、ドライブ中に見たお店が気になって、あるいはなにか行く先の情報が欲しくて
iPhoneのSiriに問い合わせたりされたことがありますか。
しばらくしてSiriから返事が返ってきます。
「あなたのおっしゃっていることが理解できません」
あるいはとんでもないトンチンカンな返事が返ってきます。幾度試しても、また質問するのを代わってもらっても同じです。車内は一般の室内よりもさまざまな音を拾っているから、Siriの精度が落ちるのかもしれません。
実は、今の車に乗り換える前に搭載されていた純正ナビも「音声認識機能」を持っていました。遊びで使ったりしていましたが、そちらのほうが認識できるコマンドが限られていたからか、はるかに正確でした。そのナビもOSのバージョンアップがあった時に、さらにコマンドが減っていたことを覚えています。
「音声認識」そのものは、もしかすると切磋琢磨され、技術の向上でより正確なものになっていくのかもしれませんが、それよりも想定されるのは、このダッシュボード争奪にチャレンジすることで、今のナビメーカーとの競争だけではなく、アップルやグーグルが経験したことのない新たな競争関係のなかに飛び込んでいくことになりそうです。
それはマイケル・ポーターが示した5つの競争要因(5フォース)のひとつ、顧客(買い手)との交渉力です。
アップルもグーグルも自らが市場を生み出し、そのなかで君臨してきた企業です。どちらの企業も、「売り手市場」に立ってきたわけで、顧客(買い手)との厳しい交渉の圧力を受けてきたわけではありません。
自動車メーカーは「完璧性」を求めます。ひとたび問題が起こると、自動車メーカーのブランド・イメージも損なわれます。リコールするコストもおそらく膨大でしょう。ついこの前も、プリウスの190万台におよぶリコールが発表されていました。
トヨタとホンダの大量リコール、世界に広がる日本車の「安全神話崩壊」〜日本叩きの懸念も(1/2) | ビジネスジャーナル
さらにGMは、もっと致命的な「リコール隠し」の疑念が報道され、情報開示が適切でなかった点について刑事責任を問うべきかどうか調査を始められています。ロイターの記事によると、先月に、GMが点火スイッチの不具合により160万台以上をリコールすると発表したのですが、「この不具合は発生から10年を経過しているだけでなく、13人の死亡事故との関連性が指摘されている」というものです。
米連邦検察当局、米GMのリコールについて調査開始=関係筋 | ビジネスニュース Reuters
日本のナビメーカーの利益率が海外の簡易ナビメーカーに比べ、非常に低いのは、純正ナビとして、自動車メーカーの厳しい要求にあわせるために研究開発費負担が重く、また高い品質基準を守らなければならないからだと言われています。
それはそうでしょう。たとえばスマートフォンなら、フリーズしてしまっても、再起動すれば済みます。それはそれで困ったことですが、だから訴訟が起こるということにはなりません。ナビ程度ならまだいいのかもしれませんが、車の制御のOSまで踏み込むと、もしOSがフリーズしたり、暴走すると大変なことになってきます。
つまり、アップルもグーグルも要求の厳しい自動車メーカーと、そういったリスクをめぐった綱引きをせざるをえません。もし自動車の世界に踏み込むなら最終リスクを負う買い手の交渉力ともつきあわざるをえなくなるのです。アップルやグーグルが最終リスクまで負えば別でしょうが。
そんな壁や試練を乗り越えることがはたしてアップルやグーグルにできるのか、それが自らの事業の収益性を悪化させ、「普通の会社」になってしまうのではないかという懸念がどうしても湧いてきます。
あるいは、それも跳ね除ける、新しい価値ある体験を創造するイノベーションの力を発揮し、自動車メーカーより強い立場をつくることができるのかです。
いずれにしてもかなりハードルは高そうです。しかし、やってみなければわからないなかで、高いハードルにチャレンジしようという精神は大いに評価したいところです。
iPhoneのSiriに問い合わせたりされたことがありますか。
しばらくしてSiriから返事が返ってきます。
「あなたのおっしゃっていることが理解できません」
あるいはとんでもないトンチンカンな返事が返ってきます。幾度試しても、また質問するのを代わってもらっても同じです。車内は一般の室内よりもさまざまな音を拾っているから、Siriの精度が落ちるのかもしれません。
実は、今の車に乗り換える前に搭載されていた純正ナビも「音声認識機能」を持っていました。遊びで使ったりしていましたが、そちらのほうが認識できるコマンドが限られていたからか、はるかに正確でした。そのナビもOSのバージョンアップがあった時に、さらにコマンドが減っていたことを覚えています。
「音声認識」そのものは、もしかすると切磋琢磨され、技術の向上でより正確なものになっていくのかもしれませんが、それよりも想定されるのは、このダッシュボード争奪にチャレンジすることで、今のナビメーカーとの競争だけではなく、アップルやグーグルが経験したことのない新たな競争関係のなかに飛び込んでいくことになりそうです。
それはマイケル・ポーターが示した5つの競争要因(5フォース)のひとつ、顧客(買い手)との交渉力です。
アップルもグーグルも自らが市場を生み出し、そのなかで君臨してきた企業です。どちらの企業も、「売り手市場」に立ってきたわけで、顧客(買い手)との厳しい交渉の圧力を受けてきたわけではありません。
自動車メーカーは「完璧性」を求めます。ひとたび問題が起こると、自動車メーカーのブランド・イメージも損なわれます。リコールするコストもおそらく膨大でしょう。ついこの前も、プリウスの190万台におよぶリコールが発表されていました。
トヨタとホンダの大量リコール、世界に広がる日本車の「安全神話崩壊」〜日本叩きの懸念も(1/2) | ビジネスジャーナル
さらにGMは、もっと致命的な「リコール隠し」の疑念が報道され、情報開示が適切でなかった点について刑事責任を問うべきかどうか調査を始められています。ロイターの記事によると、先月に、GMが点火スイッチの不具合により160万台以上をリコールすると発表したのですが、「この不具合は発生から10年を経過しているだけでなく、13人の死亡事故との関連性が指摘されている」というものです。
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日本のナビメーカーの利益率が海外の簡易ナビメーカーに比べ、非常に低いのは、純正ナビとして、自動車メーカーの厳しい要求にあわせるために研究開発費負担が重く、また高い品質基準を守らなければならないからだと言われています。
それはそうでしょう。たとえばスマートフォンなら、フリーズしてしまっても、再起動すれば済みます。それはそれで困ったことですが、だから訴訟が起こるということにはなりません。ナビ程度ならまだいいのかもしれませんが、車の制御のOSまで踏み込むと、もしOSがフリーズしたり、暴走すると大変なことになってきます。
つまり、アップルもグーグルも要求の厳しい自動車メーカーと、そういったリスクをめぐった綱引きをせざるをえません。もし自動車の世界に踏み込むなら最終リスクを負う買い手の交渉力ともつきあわざるをえなくなるのです。アップルやグーグルが最終リスクまで負えば別でしょうが。
そんな壁や試練を乗り越えることがはたしてアップルやグーグルにできるのか、それが自らの事業の収益性を悪化させ、「普通の会社」になってしまうのではないかという懸念がどうしても湧いてきます。
あるいは、それも跳ね除ける、新しい価値ある体験を創造するイノベーションの力を発揮し、自動車メーカーより強い立場をつくることができるのかです。
いずれにしてもかなりハードルは高そうです。しかし、やってみなければわからないなかで、高いハードルにチャレンジしようという精神は大いに評価したいところです。
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