カサノバ新社長体制となり、「チキンフィレオ」、つづいて「アメリカンヴィンテージ」などのキャンペーンに打って出て、1月には7ヶ月ぶりに対前年売上高の減少に歯止めがかかったかに見えたマクドナルドが再び失速してしまいました。
2月の全店売上高は対前年同月比で8.8%減というのも厳しい結果ですが、それよりも既存店の客数が対前年比でなんと13.1%減でした。その前年の2月も、既存店の客数は10.9%減だったので、2年前の2月からすると2割強も顧客を失ってしまったことになります。

マクドナルドの公式コメントで疑問に感じるのは、業績が悪いと、原因を環境の悪さを言い訳にすることで、今回は「記録的な大雪の影響もあり、全店売上高は対前年比-8.8%、既存店売上高は対前年比-8.7%となりました」となっています。
マクドナルド月次セールスレポート

では、同じハンバーガー・チェーンのモスバーガーはどうかと見てみると、2月の全店売上高は対前年比で1%減、既存店の客数は5.1%減で、決して良かったとはいえないにしても、まだ「記録的な大雪の影響」と言える範囲かと思われます。
MOS BURGER|会社・IR情報|IR情報|IRライブラリー|月次情報

吉野家の2月の月次情報を見ると、全店売上高が18.9%増、既存店の客数は15.1%増と、「記録的な大雪の影響」どこ吹く風とばかりに絶好調です。
吉野家月次報告 | IR情報 | 株式会社吉野家ホールディングス

そろそろマクドナルドは、「不都合な真実」を認めなければならないところまで追い詰められてきているのではないかと感じます。なぜならカサノバ新社長体制となって、新メニューの投入、また積極的なキャンペーン展開をはかったにもかかわらず、その効果がでなかったのですから。

問われているのは、マクドナルドが人を引き寄せる魅力、つまり価値そのものではないかと感じます。コンビニなどの思わぬライバルの出現で、マクドナルドに「訪れる理由」そのものが揺らいできた兆候だろうということです。

マクドナルドの不振は、世界市場で敗北していった日本の情報家電業界とイメージが重なって見えてきます。日本の情報家電業界も決して努力していなかったわけではありません。ただ、自前主義と摺り合わせ技術でつくり上げる開発のシステムや文化から抜けだせず、その輪のなかで改善や新機能開発をやりつづけたのです。それが完成された部品を組み合わせていくモジュール開発方式の流れの前に敗北していきました。

本来やらなければならなかったのは、改善ではなく、開発の考え方やシステムの本丸を進化させることだったのですが、気がついたときはもう市場でのポジションを失ってしまっていました。かつての勝者として蓄積してきたものを捨てられなかったという典型的な「イノベーションのジレンマ」に陥ったのです。

マクドナルドに求められているのも同じではないでしょうか。ハンバーガーの目先を変えるために、季節メニューを開発することやサイドメニューで補強すること、キャンペーンを強化することではなく、「マクドナルドのハンバーガー」そのもの、あるいは「マクドナルドの店舗での体験」を大きく変えるイノベーションなのでしょう。

マクドナルドのカサノバ新社長の精力的な経営を持ってしても、競争力を失い、魅力が低下してしまったビジネスの延長線上では、「改善」や「目先のキャンペーン」は無力だということをマクドナルドは示したのではないかと感じさせます。

情報家電よりも、マクドナルドのほうが敗因は見えづらいかもしれません。欠点があれば修正できます。足りないところがあれば足せばいいのです。しかし本質的な魅力の低下ほど対処が難しいものはありません。

そうですよね。「まじめに一生懸命やっていることは認めるけれど、なにか魅力を感じないのよ」と言われたら途方にくれます。魅力をつくることには、処方箋がなく、自ら新しいコンセプトや戦略、サービスや店舗体験を創造するしかありません。

さて日本発のマクドナルドの不振が、世界にも広がってきているようです。本拠地の米国でも、2月の既存店売上高は前年同月比0.3%減少し、4カ月連続でのマイナスとなっています。
マクドナルド:2月既存店売上高は減少−米国は4カ月連続減 - Bloomberg

おそらく日本だけでなく、マクドナルドのビジネスそのものが成熟期に達してしまった、なかでも競合という点では日本はコンビニの台頭で厳しい日本市場でまっさきにその兆候がでてきているということではないでしょうか。そしてビジネスの成熟を見極めることがいかに困難かをマクドナルドは示してくれていると思えます。


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