これは面白い。アマゾン「食器洗い乾燥機」のカテゴリーで「山善の食器乾燥器YD-180」が人気ランキングのトップ(本日時点)に輝いています。売価が3,000円〜3,500円程度の、なにの変哲もない製品にもかかわらずです。
人気の理由はカスタマレビューを見ればすぐに分かります。高い評価のレビューが多数書き込まれ並んでいるのですが、たまに食器乾燥器として評価されているものもありますが、ほとんどが、なんと模型製作の塗装後の乾燥機としての書き込みです。
実に微笑ましく、それがネットで話題になっていますが、なかには「食器乾燥機なんて名称がついていますが、何かの間違いのようです」というレビューもあり「想定外」の目的で人気を得ているのです。

日刊サイゾーによると、山善にもプラモデル業界・フィギュア業界からの熱い反響がよせられていて、受注数量も「ここ最近は昨年比120%で推移している」そうです。

想定外 なぜ物事は思わぬところでうまくいくのか
ジョン ケイ
ディスカヴァー・トゥエンティワン
2012-12-14


これほどの「想定外」という事例は珍しいかもしれませんが、実は、開発側、売り手の「想定外」でヒット商品が生まれた事例は少なくありません。発売してみると、「想定外の目的」で、「想定外のユーザー」が購入していたり、「想定外の方法」で使われていることはマーケティングでは日常茶飯事で、いくら丁寧にリサーチを重ね、入念にプランを練っても、現実は想定通りになるとは限らないのが世の常です。

たとえば有名な事例としては、ポストイットもそうでした。そもそもが接着剤としての失敗作をなんとか商品化できないかと目的を探したのですが、紙に塗布して配っていたサンプルに秘書の人たちがメモを書いて貼っていたことで「想定外」の目的に気づき、それが大ヒットしたのです。発売前に「想定外」を発見したことはまことにラッキーでした。

さらに実際の体験談やマーケティング事例を交えて、来週発行するメルマガで取り上げたいと思っていますが、「想定外」が起こりえると考え、ユーザー、また市場と対話を通して「想定外」を発見し、軌道修正していけるかどうかもマーケティング力のひとつだと思います。

過去に起こった天災の記録があるにもかかわらず、それを無視して施設をつくり、事故が起こると「想定外」の自然災害だったとい言い訳するのは話になりませんが、なにか新しいことを企てれば、かならずそこには「想定外」は起こってきます。「山善の食器乾燥器」もその格好の事例ではないでしょうか。


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