サムスン電子は7〜9月期の連結決算で、売上高、また営業利益が前年同期比で過去最高を更新したと伝えられています。世界のスマートフォンのトップの座を射止め、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いです。そのサムスンですが、スマートフォンの新たな成長戦略や競争時代に向けた動きが急になってきています。しかし、そこに焦りのようなものすら感じます。もしかするとひたひたとサムスンのピークアウトが近づいてきているのかもしれません。
もうひとつコンセプトに鮮度を感じないカメラ付き腕時計型端末のGALAXGearにつづいて、曲面スマートフォン GALAXY ROUNDが登場させましたが、こちらも他のメーカーもプロトタイプとしてはすでに発表していた曲面有機ELディスプレイのスマートフォンを最初に発売したのですが、サプライズを起こすには少し遠い印象を受けます。
またGoogle Glass風のメガネ型コンピューターGear Glassを開発中で来年にも発売するという観測もあるようです。

やはりサムスンには自らオリジナルな技術を生み出したり、新しい市場を創造する力はまだまだ弱く、すでにあるアイデアを商品化してなんとか技術先行イメージをつくりたいという意図しか見えないのです。

アップルの特許を侵害しているとしてサムスン電子の製品や部品の輸入差し止めを米国のUSTR(通商代表部)が承認したようですが、。旧製品が対象なので、直接的な打撃は小さいでしょうが、イメージダウンは避けられないと思われます。

サムスンのこういった一連の動きは、スマートフォンの普及状況から見れば、もう数年先には先進国では市場が成熟し、成長も鈍化しはじめます。それとともに、規模の成長を求めるのなら、主戦場が中国やインドなどの途上国市場に移ってくるわけですが、そこでは激しい現地企業との価格競争が起こり、シェアを奪われるということも起こってきています。

成長著しいスマートフォン市場で、サムスンはひたすらシェアを追求し、信じられないほどの多機種を開発するパワーや高い品質、また積極的なマーケティングのパワーゲームによって成功してきましたが、なんらかの新たな成長戦略や競争戦略が必要になってきているのです。

出荷台数でアップルを抜いた2012年第1四半期の出荷台数の対前年伸び率は267%増、Galaxy S靴iPhone4を抜き機種でトップに立った2012年第3四半期は100.4%増と倍々ゲームを続けてきましたが、いまだに高い成長率を保っているとはいえ、2013年にはいってアンドロイドスマートフォン全体の出荷台数の伸びを下回りはじめています。この成長率の鈍化を見れば、なんらかの手を打とうというのも当然です。しかもこのままでは、Googleの支配下のモノを造る企業の域をでず、自ら市場を創造することは不可能です。
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グラフはIDCデータより作成 

やはりソフトウェアを押さえないとだめだということですが、「携帯端末向け基本ソフト(OS)の開発はとん挫、携帯端末向けチャットサービスは人気獲得に苦戦、手や目の動きを感知するテクノロジーは冷淡な反応を受けた」(ウォール・ストリート・ジャーナル)のが現実でしょう。このソフトウェアの弱点を克服しようと、M&Aを強化し、シリコンバレーでの存在感を拡大させる動きもあるようです。

トップブランドとしての信頼も勝ち取りたい、そのためにはトップブランドとして市場を育てる役割が求められる、しかし、なんらかの新しいコンセプトによって新しい市場を創造しようにも独創力がない、一方では価格競争の脅威を受けるというジレンマにサムスンははまりはじめてきているのではないでしょうか。

もし、サムスンが今は絶頂期で、もし成長が鈍化してくれば韓国経済への影響ははかりしれません。それでなくとも、貿易依存度が異常に高い韓国は、アベノミクスによる円安によって、これまで享受してきたウォン安メリットがなくなり競争力が低下してきています。今はライバルの日本外しのチャンスとばかりに、中国よりの外交姿勢が目立ってきましたが、その中国経済も減速しはじめました。

韓国の経済も右肩上がりの成長期を終えたように見えます。2011年第2四半期以降、8四半期連続で前期比0%台の成長を記録し、今年第2四半期は成長率が前期比1.1%と0%台を超えたものの、低成長持続懸念は相変わらずで、IMFは来年の韓国経済の成長率を下方修正しています。

韓国が成長率で日本に逆転されることもなきにしもあらずの状況です。経済成長率だけでなく、さらに一人あたりGDPでも日本に追いつき追い越せという目標は夢に終わり、その目標も韓国は失います。国民が目標を失うと経済が停滞し始めることは日本が体験したことです。

そんなさなかに、韓国の熊津、STX、東洋などの中堅グループの系列会社が相次ぎ法定管理(会社更生法適用に相当)を申請する事態が起こっています。また東部グループの系列会社である東部製鉄が、2年物社債400億ウォン(約36億円)を年利8.9−10.07%で発行すると公示したものの、もし買い手がつかなければ10%台で社債を発行する異例の事態となり、朝鮮日報が「ドミノ倒産」の危機に警鐘を鳴らす社説をだしています。
ドミノ倒しなのか、準大手自動車メーカーの双竜自動車も法定管理を申請したようです。

東洋グループの系列5社の経営破綻に関しては、「直前まで系列の証券会社を通して一般投資家に社債やCP(コマーシャルペーパー)を売りつけ、挙句の果てにオーナー会長の経営権を維持できる『法定管理』を申請した」という悪質なものだったようです。

もはや韓国も途上国ではなく、先進国への脱皮をはかる段階にはいってきているのですが、残念ながら、まだ基礎的な技術蓄積が弱く、アセンブリー工場拠点のレベルからはまだ卒業しきれていません。韓国のメディアの日本版を見ても、日本への対抗心をむき出しにしていますが、その事自体がまだ今何をすべきかを見失っていることを示しているようにも感じます。

技術蓄積では、ひとつの参考になるのが知的財産権の使用料などの国際取引の結果としての技術貿易収支ですが、日本の伸び率は高く、米国についで世界第二位となっています。韓国は赤字です。
技術貿易、日本は黒字 10年で4倍、米に次ぐ  :日本経済新聞 : 

外交で中国に過度に傾斜してきたことの矛盾もではじめています。中国の拡張主義に懸念する米国が日米関係を強化する方向を打ち出してきたなかで、韓国の立ち位置の取り方が難しくなってきています。この点について韓国メディアの中央日報がそれを懸念する社説をだしていました。

中国や韓国は、「反日」の偏狭なナショナリズムを煽り、国内の不満をそらしてきた のですが、それは不満を解消する一時しのぎになったとしても、グローバル化し、相互依存度が高まってきている今日はやがてそれが矛盾を引き起こしてきます。しかもナショナリズムで踊らされるのは、かならず、もっとも経済の停滞の打撃を被る所得の低い人たちだというのが皮肉なところです。

日本はこういった動きに巻き込まれないことです。巻き込まれて得るものはなにもありません。ネット界隈では、まるでサッカーの試合のオウンゴールのように韓国経済の不振を無邪気に喜ぶ人もいますが、それは韓国の「反日」と同じ土俵に乗るだけです。
冷静さが保てることが日本の強みだということは忘れないでほしいものです。日本が冷静であればあるほど日本の強みが効いてくるのです。

大切なのは日本がどのような道を選択し、歩んでいくのかです。その点では今のところ安倍内閣が現実主義の外交に徹している点を評価したいところです。

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