アップルの株価下落は、iPhone5CやiPhone5Sの中国での販売価格に市場が失望したことが大きいと思います。
この点について、ヒロさんという方が、中国でのこの高価格は、価格とは関係なく購入するギークな人たちだけを狙ったアップルの強気の戦略だとブログで書いておられます。しかしそうではないと思います。もしもそうなら、今回のiPhone5Cを発売したことが説明できなくなってしまいます。
一言で答えるならば昔のアップルに戻りたがっているのではないかと思います。つまり、マス向けの商品ではなく、むしろ、ギーク(おたく)の製品としてやっていきたがっているように見えます。そのひとつの戦略がアップルの評価が高い日本においてはドコモでの販売を認め、更なる拡販体制を作る一方で中国では5cを7万円強の値付けとする強気姿勢に出ています。しかも中国では5sはまだ販売しません。
「中国では5cを7万円強の値付けとする強気姿勢」ではなく、
「中国ではSIMフリーの価格でしか売り出せなかった」のでしょう。
アップルが発表した価格をよくご覧ください。iPhone5Cの16GBモデルが99ドル(約1万円)ですが、2年契約の縛りがついての価格です。ちなみにシンガポールではSIMフリーのiPhone5Cの16GBモデルが848シンガポールドルで売られるので、日本円では7万円をはるかに超えています。
つまり、iPhone5Cの16GBモデルが99ドル(約1万円)は、キャリアがだす販売助成金によって価格を下げているに過ぎません。アメリカでの法規制はよくわかりませんが、メーカーであるアップルが、キャリアの販売助成金込の価格を発表するということがどうなのかとふっと疑問に感じたところです。それにそう考えるとiPhone5Cの16GBモデルの99ドル(約1万円)はさほど安くないのかもしれません。
では中国でなにが起こったのでしょうか。中国のキャリアに販売助成金を負担させることに失敗したのではないでしょうか。中国ではSIMカードと携帯電話本体を別々に購入するのが主流です。それでは2年間の縛りを前提とした価格は打ちだせません。そんなビジネスの仕組みを変えることができなかったのではないかと想像しています。
iPhone5Cであれ、iPhone5Sであれ、中国で売れる価格にするためには、中国のキャリアが2年間なりの縛りという方式を取り入れ、販売助成金を出して価格を下げるか、アップルがキャリアへの販売価格を思い切って下げるしか選択肢はありません。
今回のアップルのアジア戦略の目玉は、日本でのドコモの取り扱い開始と、中国最大のキャリア、中国移動通信から販売することだったはずでした。中国でiPhoneのシェアを伸ばそうとすれば、携帯電話の契約者数がなんと7億人を超えている、世界最大規模の中国移動通信との契約がなければ厳しいはずです。
その中国移動通信から売りだされるという発表がなかったのです。想像ですが、中国移動通信での販売方式や価格でまだ折り合いがついていないということではないでしょうか。
アップルの中国戦略が成功するかどうかは、中国移動通信が鍵を握っており、焦点はアップルが中国移動通信との契約に成功するかどうか、また契約時にiPhoneが売れる価格にできるかどうかでしょう。
もしかすると中国市場については第二弾のサプライズがあるか、もう契約交渉に失敗してしまっていて、サプライズはないかのいずれかだと思います。
秘密主義のアップルの面影もないほど、情報ダダ漏れとなってしまったアップルですが、鴻海傘下のフォクスコンに中国移動通信への出荷指示をしているというウォル・ストリート・ジャーナル紙の報道が正しいとすれば、それを待たないとアップルの中国戦略がどうなるのかはまだ判断が早すぎるのではないでしょうか。
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