中国のGDPの成長率が鈍化してきたことがニュースで流れています。そちらは落ち着いてきたという感じですが、それよりも米国の景気のほうも心配な状況になってきたとウオール・ストリート・ジャーナルが伝えています。
さて米国の景気の減速のほうは、給与税率の2ポイント引き上げで所得が4年余りで最大の落ち込みとなったことも影響しているようです。こちらは、日本の消費税増税をアップするかどうかに影響がでてくるのかもしれません。日本は所得がまだ伸びてきていませんから増税は危なかっしい感じです。

中国の方ですが、そのそも中国統計局のデータに対する信頼性は低いというものの、成長鈍化は間違いないのでしょう。貿易依存度が高く、輸出に頼っている経済で、需要先の先進国が不景気になれば成長率が落ちるほうが自然です。しかも中国も日本と同じく少子高齢化が始まっています。

しかし鈍化したといっても、7.5%の成長率はまだまだ高い水準であることには否定すべくもありません。ちなみに、日本の経済成長率を辿って比較してみると、日本の高度成長期といわれる56〜73年度で平均9.1%、その後は、74〜90年度平均4.2%、91〜12年度平均が0.9%なので、日本よりはまだまだ経済は活力があるということになります。

しかし、問題は成長率の鈍化ではなく、成長率の鈍化によって、さまざまな矛盾が表面化してくるということでしょう。公共事業という壮大な無駄の積み重ね、貧富の格差の拡大、共産党による富の独占や腐敗などの歪です。そうなると共産党の統治にも難しい局面がやってきます。

中国はリーマン・ショックによる世界金融危機に対応するべく、4兆元(およそ65兆円)という巨額の景気刺激策を実行したのですが、そのツケが表面化しはじめてきているのでしょう。しかし小渕内閣が景気対策で財政出動したのは80兆円ですから、似たようなものでしょうか。

公共事業によってGDPを無理に上乗せすることがいかに役に立たないか、また後にどれだけ経済の足かせになってくるのかは、日本がとっくの昔に示してきました。利用されない箱モノをつくったり、穴を掘って埋める公共事業では一時の雇用が増えるだけです。どこの国の政治家も官僚も目先しか見ないというのは同じに見えてきます。

中国政府はバブルを警戒して引き締めを行なっていたので、その景気対策は地方政府が、今問題になってきている「影の銀行」から借りたものだといわれています。

借金をしても、それが有効に利用され、利益として戻ればいいのですが、官僚がやる事業が成功するわけがないのはどこも同じです。無理やりつくった箱モノはどんどん不良債権化し、そこに資金を流した「影の銀行」が危なくなってきているということでしょう。しかし別に、不良債権化しても、「影の銀行」は国有企業や富裕層のマネーが流れたものなので、政府や一般の国民には関係のない話のような気がします。日本のようにそれで政府が多額の借金をしたわけではありません。いわゆる理財商品がアワとなって消えていくだけでしょう。

中国の政府総債務残高は2013年でGDPの21.3%なので、日本はGDPの2倍の借金を政府が背負い、まだ安倍内閣になっても、10兆円も財政出動しているので、普通に考えれば、心配すべきは日本のほうでしょう。

バブルを警戒するための政府の引き締めといえば、この前、ビジネスで訪中した友人が言っていました。接待された豪華な高級レストランは、閑散として客がほとんどおらず、給仕が何人もテーブルを取り囲んでサービスをしてくれたそうです。

中国共産党御用達のレストランで、以前はずいぶん賑わっていたそうですが、経費の引き締めで、共産党員がこなくなったのだそうです。それで、メニューの価格も大きく下がったといいます。話を聞いたとたんに、赤坂の料亭やノーパンしゃぶしゃぶで騒いでいたバブル期の霞ヶ関の官僚が思い浮かびました。アジアはどこも同じなんだなあと。

中華人民共和国全国運動会で花火が姿を消したという記事もありました。経済が減速してきて、倹約を求めた政府通達に組織委員会が急いで従ったからです。

中国がさらに経済成長を続けようとすると、外需主導から内需主導の経済へと構造転換していく必要がありますが、昨年の中国の都市部住民の1人当たりの可処分所得は実質で前年比9.6%民の1人当たり純収入は10.7増で、3年連続で国内総生産(GDP)の伸び率を上回っています。こちらも所得がむしろ減少してきた日本よりは、個人消費の伸びがまだ成長エンジンとして期待できます。

客観的に見れば、なんとかしないといけないのは日本の経済のほうだということになります。

いずれにしても、どの国も経済政策の舵取りが難しくなってきたことは間違いないことです。しかしこういった状況だからこそ、マクロな経済政策に期待するのではなく、自らのビジネスの足元をしっかり固めていく自助努力が必要だということかもしれません。

SFAによる顧客管理ならアクションコックピット

新世代SFA営業支援システム アクションコックピット

営業現場を「共有する。発見する。かしこく動く」に進化させるためのツールです。