テスラの電気自動車モデルSが大ヒットし、同クラスのメルセデス、BMW、アウディを販売台数で圧勝したことを以前取り上げました。「価格が下がれば売れる」ではなく、たとえ価格が高くとも走行距離など、「乗用車として売れる条件を満たす」ことでヒットしたのです。
テスラはネットで顧客に直接売る販売方式ですが、売れていなければ自動車ディーラーも問題にしなかったでしょうが、モデルSが大ヒットしているために、全米のディーラーからの反発も起こっています。
ディーラーは各州の議会に働きかけを行い、直接販売禁止の法的措置を求める動きをとってきており、共和党が多数派であるノースカロライナ州の上院は、テスラによるネット通販を制限することになる法案を全会一致で可決したことをWSJが伝えていました。これまでも、自動車メーカーが試みてきた直接販売はことごとくディーラ−の圧力で阻止されてきこともあり、テスラ危うしです。
いやはや銃規制問題といい、このテスラ問題といい、業界圧力、資金や票で政治が動くところは、どこかの国と同じような光景を見るようですが、米国のほうが露骨かもしれません。
ディーラー側の主張は、メーカーが直接販売を行うと競争が起こらず、独占的な価格となり、消費者の利益に反するということですが、常識的に考えれば、メーカー間で競争は行われており、むしろ流通の中抜きを行うほうが価格を低く設定できます。
こういった各州の販売規制の法案化に対抗するために、テスラの株主たちが対抗してホワイトハウスに嘆願書を提出しようと署名を集め反撃する動きにでているようです。
そのためには7月5日までに10万人の署名を集めなければなりませんが、現在のところおよそ2.5万人分しか集まっておらず、締め切りが刻々と迫ってきています。
さてこの対立の行方はどうなっていくのでしょうか。テスラが折れて、直販を止めるのか、テスラが風穴をあけ、自動車直販のビジネス・モデルを既成事実として広げていくのでしょうか。
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