ある土俵のなかで得られている利益が大きいほど人はその土俵を守ろうとします。それが公正で平等な土俵なのか、あるいは多くの人々の利益になっているかは関係ありません。選挙制度もその典型です。
そういったことは漁港でもあるようです。街角アンケートで、辛坊さんに救助費用を払えという声がなんと40%にも達しているということに驚いた方が、それは筋が通らない、では漁にでた漁民の方が遭難され救助する際にも救助費用をだせというのか、あるいは、辛坊さんが金持ちでしかも好きで行った、漁民の方は仕事だから無料で救助して当然というのだろうかと疑問を投げかけておられます。そのとおりでしょう。それよりは、漁業組合の漁港の独占について書かれていることが目にとまりました。
日本の漁港は、国民の税金でつくられており、大半の漁業組合が補助金(つまり税金)で何とかしのいでいるにもかかわらず、漁業組合によって他の船については入港禁止になっている漁港が多いということでした。これも自ら国に税金で漁港という土俵をつくってもらっているのですから、公の港のはずで独占権はないはずです。それを他の船が利用することは許さないというのもなにか釈然としません。

テレビも総務省と放送局が地上波放送という土俵をつくっています。インターネットなどの通信の発展があっても、かたくなに放送局側が指定した時刻、指定したチャンネルでテレビをみなさいという土俵です。その時間に見ることができなければ、あるいは後もういちど見たければ、録画機を買いなさいという土俵です。

なんと時代遅れでしょうか。今日の技術をもってすれば、好きな時間に、見たい番組を好きな方法で見る環境はいくらでもつくれます。

それでいくらなんでも、インターネットを無視するわけもいかないので、しぶしぶというか消極的に見逃し番組をインターネットで見れるようにしてきているのですが、視聴料金が高いのです。自分たちにうまみのある土俵が壊れないように中途半端な改善しかできないというのは、国会での選挙制度の審議と同じです。

しかし、そういった土俵を破壊しようというチャレンジがかならず起こってきます。供給側の利益を支えている土俵を守ろうと知恵を巡らせる人もいれば、それを壊して、利用側にいる多くの人々の利便性を高めようと知恵を働かせる人もでてきます。

テレビ放送の世界でも起こってきています。

ひとつは、アメリカのベンチャー企業Aereoが生み出した、放送局の盲点をついたインターネットによるテレビ番組の放送サービスです。頭がいいというか、利用契約すると、Aereoの施設内に超小型のアンテナを用意し、それで電波を受信して、インターネットを通してそれを視聴するというものです。アンテナはクラウドにあって、それにアクセスすれば、インターネット対応のテレビ、スマートフォン、タブレット、あるいはPCでも試聴でき、もちろん録画のサービスもあります。
放送局がそれを見逃すはずがなく、Aereoの事業は著作権侵害にあたるとしてサービス提供の差し止めを求めた訴訟を起こしましたが、各地の裁判では司法の判断が二分し、決着がついていません。
FOXを傘下に持つニューズ・コーポレーションが裁判の行方によっては無料放送を有料放送に切り替えるという過激な発言までしているとか。

これも漁業組合と漁港の独占と似た話で、そもそも電波は公共のものです。国から独占の認可を受けて、それで広告費で稼ぐビジネスを築いた放送局が、新参者にはその土俵に一歩でも踏み込ませない、あるいは将来新しいサービスで自分たちが得ようとしている利益を守ろうとしているということでしょう。

チャレンジはアメリカだけで起こっているわけではありません。お膝元の日本でも、ベンチャー企業「ガラポン」が面白い録画機を発売しています。それにしても面白い会社名ですね。

地上波テレビ放送8チャンネルをワンセグ画質で24時間×90日分以上を録画できるというものです。録画した番組を、3G回線を経由してスマートフォンから視聴することもできます。
全TV番組録画機・全録機「ガラポンTV」 iPhone、iPad、Android、PCからインターネット視聴 : 

なにがいいかというと、番組名やカテゴリーから番組を検索できるだけでなく、普段は使っていない字幕放送も記録されていて、全文検索でテレビ番組を調べることができることや、ネットで話題になった番組も後から見ることができるのです。ガラポンはテレビ番組に関した交流サイトも用意しています。録画機ガラポンの価格は税込で41,790円です。

今の時代は、小さな企業でも情報家電製品を開発し自ら売ることが可能な時代です。PCなしでUstream放送ができるLiveShellを開発し、販売しているセレボの岩佐さんへのインタビュー記事がありますが、開発の技術やノウハウがあればたとえ小ロットでも製品を開発できる時代だということがよく伝わってきます。

さて、規制緩和が成長戦略に必要だということが言われますが、利用者側の利便性をさらに広げるために、テレビ放送の土俵の俵を取り除くことをやれば、視聴時間や回数が増え、テレビ局の利益にもなってくるはずです。さらに新たな製品や仕組みが生まれ育つことを促進します。アベノミクスの成長戦略も、そこまで踏み込むのならインパクトがありますが、既存の土俵を壊さないのなら魅力を感じません。

SFAによる顧客管理ならアクションコックピット

SFAによる顧客管理ならアクションコックピット