日経がドコモがiPhoneを取り扱う検討をしているけれどまだ「条件次第」という記事、産経はさらに踏みこんでこの夏からiPhoneを取り扱うという記事を書いていました。どうなんでしょうね。背に腹は変えられないということでしょうか。2012年度のドコモの転出の超過数が前年度比75%増の140万件と過去最大となってしまったのですから。ただ、ドコモがiPhoneを取り扱うと言っても新鮮な驚きを感じないのが微妙なところです。
ドコモがiPhoneを扱わない理由として、ドコモは国内のメーカーを保護する役割を担っている、あるいはそれを背負わされているからだと言われていたのですが、昨今ではショップでサムスンのギャラクシーを全面に押し出したりして、それもなし崩しというのが現状です。出荷台数ではiPhoneを上回り、同じアンドロイド勢を駆逐してきたサムスンを扱って、iPhoneは取り扱わないというのは理屈に合わないし、iPhoneを扱うと言っても、驚きにはなりません。

残るは、アップルから求められる厳しい条件と折り合えないことですが、それはドコモの国際最大キャリアとしてのプライドがそうさせてきたのでしょうが、プライドも競争を勝ち抜かなければそれはただのひとりよがりになってしまいます。
今日のビジネスは、ライバルとの競争もさることながら、売り手と買い手の交渉力のシーソーでどちらにどれぐらい傾くかが重要な要素になってきていますが、アップルがいくらドコモが日本最大の通信キャリアだとしても、他の2社よりもいい条件を示してくるとは到底望めません。日本はiPhoneのシェアが高いのですから、バーゲンセールに走る理由がありません。
ドコモが厳しい条件を飲まざるを得ないiPhoneを扱うことは、そこまで追い詰められたのかと感じさせることになります。昨今は焦ってか、コマーシャルもまるでソフトバンク路線のコピーとなってしまいました。

ドコモ劣勢は、iPhoneを扱っていないこともさることながら、ソフトバンクがプラチナバンドによって、つながらないという弱みがなくなったどころか、「つながりやすさNo.1」キャンペーンで攻勢をかけてきたこと、auもiPhoneを取り扱ったことで勢いづき、また両社によるLTEの訴求の合唱効果で、通信速度のブランド化をはかったはずのXi(クロッシィ)も影が薄くなってきたことなどさまざまな原因が考えられるので、ドコモが再び優位に立つ決定打にならないのではないかとも感じます。

もうひとつ微妙なのは、もう少し早くiPhone取り扱いをしていればiPhoneのブランド力が新規ユーザー獲得の決め手にもできたでしょうが、アンドロイド・スマートフォンの機能や品質も高まり、また機種も増え、iPhoneの優位性が相対化してきたことです。dスマートフォンの普及も、iPhoneが牽引するステージはもう終わっています。

ドコモはiPhoneを取り扱ったほうがベターでしょうが、それはこれ以上のユーザー流出を防ぐためのひとつの方法に過ぎず、またこれまで経営が決断できず、取り扱いをずるずると引き延ばしてきた経営への不信感は免れません。それよりは、ドコモの新しい魅力づくり、ユーザーにとっての新しい価値を提供することに全社一丸となって邁進することが正道というものではないでしょうか。