アップルが、これまでに起こしてきたイノベーション、その成果としての売られた高いブランド力や、とくにアップルのプラットフォームの土台に築いた経済圏といった資産に乗っかって生きていく普通の会社となったのか、あるいはいまだイノベーションを起こす能力を残している特別なブランドなのかが年内には見えてきそうです。
現在の稼ぎ頭であるスマートフォン市場も、サムスンを筆頭に矢継ぎ早にラインアップが増え、また新しい機能、想定されるあらゆる機能満載の、まるで花見弁当のような製品がつぎつぎに登場してきていますが、煮詰まった感が否めません。いくら新しい機能が生まれてきても、本質的なところで価値が高まってきているわけでもなく、周辺技術で競い合っている状況です。ハードだけに頼ったイノベーションの限界でしょう。

さてそんななかアップルの新しいiPhoneがこの夏と秋にも登場してくる可能性が高いことをウォルストリートジャーナルが伝えています。新しいiPhoneとiPhoneの廉価版のふたつを並行して開発していることを事情に詳しい複数の関係者が明らかにしたといいます。

廉価版はともかく、なんらサプライズがないまま登場したiPhone5が失敗したというほどではないにしても、売れているのは未だにiPhone4Sで、しかもiPhone4Sからの買い替えも進まないという状況で、新しく登場させるiPhoneはさすがにアップルだというものでなければ、スマートフォン市場の成熟を決定づけ、あとは市場での乱戦模様の修羅場がやってくるということでしょう。これまでの市場資産が残っているので、それでもアップルが失速することは考えられませんが、成長力もブランド力の低下は免れません。

もうひとつの試金石は、身に付けるPC、つまりGoogleのグラスとか、スマートウォッチでなんらかのものがでてくるのか、テレビの概念を変え,テレビを再開発してしまうようなテレビがでてくるのかで、さまざまな憶測が流れているところです。

スマートテレビのほうがインパクトはありますが、テレビはハードだけでなくコンテンツの提供も重要な鍵になってきます。確かにSONYのインターネット対応TVと比べてみて、現在のセットボックス型のAppleTVのほうが操作性はよいと感じますし、またAirPlayでiPadやMacbookとリンクできるのは便利ですが、それだけでは決定打にはなりません。

やはりiTunesから提供するコンテンツの充実や価格の見直し、また提供するチャネルを増やさなければ魅力がありません。いまささやかれているHuluの身売り先が実はアップルだったということになると驚きですが、あまりアップルスタイルの戦略ではなさそうです。

アップルにとってこの一年は、過去の資産を賢く利用して生き延びる成熟したブランドになっていくのか、はたまたほんとうの意味でのイノベーションを生み出しつづけるクリエイティブなプレミアム・ブランドとして成長し続けるのかが問われてくる年になってきそうです。