日本が持つ世界最先端をいく科学分析装置SPring8とSACRAの運転時間が、電力料金値上げで2013年度は稼働を前年度比で7〜16%短縮されることをSankeiBizが伝えています。
しかし、それがどうしたのとピンとこないというのが私たち素人ですが、しかし、日本の明日の成長戦略を支える研究分野にとっては結構重要な問題じゃないかと感じます。
科学は観察し、また測定し、分析することが基本になります。その測定し、分析する装置の進化があらたな発見につながっていきます。顕微鏡では見ることができなかったウィルスも電子顕微鏡なら見ることができるようになり、さまざまな医薬を生んだだけでなく、また超微細な世界で新しい素材の技術を生んできました。装置の進化が、さまざまな分野で新しい技術の進化を支えるのです。

兵庫県佐用町にあるこの巨大な装置は、タンパク質などの構造解明にも役立ち新薬開発にとっては欠かせないばかりか、材料分野でも燃料電池の研究など、原子レベルで素材や医薬品などを設計するナノサイズのモノづくり時代を支えるものとして注目されています。SPring8のホームページに研究成果が掲載されていますが、この施設の利用範囲の広さを感じることができます。

基礎科学の力が、日本の国際競争力や成長力を支えるためには重要になってきます。トヨタは企業単独ではじめて、この施設内に、燃料電池の材料研究のために、この装置から生まれる専用の取り出し口となるビームラインをつくり、2009年から稼働させています。
youtubeに、SPring-8 Channelがあり、施設紹介や研究者へのインタビュー動画があるので、関心のある人はそちらを御覧ください。

しかし、こういった分野は、期待や評価、また成果があっても、国が予算を減らし続けてきたのが現実で、民主党政権が行った事業仕分けで存続の危機にも立たされたこともあります。事業仕分けで質問にまともな反論ができない文部科学省の人たちにも困ったものです。事業仕分けで取り上げられた当時の日経ビジネス記事がSpring8の重要性をわかりやすくまとめているように思います。

年間6000時間は運転可能で、利用者からの要望が強いにもかかわらず予算が不足しているために5000時間止まりになってしまっていたところに、電力料金値上げで、さらに稼働を減らさざるを得なくなったのです。

安倍内閣が成長戦略を掲げるのなら、効果が怪しげな公共事業にお金を投じて、借金が増えるだけでなく、維持費などで後世にツケを残すところに予算を投じるよりは、こういった個々の民間企業だけではつくれない、また国際競争力の基礎となる研究分野に予算を投じたほうが明るい未来を感じます。

なかなかこういった分野は一般には理解しづらい問題のため、票になりにくいので犠牲になりがちですが、この問題を解決できなければ、安倍内閣の成長戦略も問われてくるものと思います。安倍総理のリーダーシップを期待したいところです。

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