ラジオで、餃子で「国内野菜」を使っているというコマーシャルが流れて、おやっと思いました。「国内野菜」は売りにならないのではないかと感じたからです。野菜も輸入がやや増加してきているとはいえ、ほぼ国内で消費される80%が国内産です。そうそう、野菜はいくら日本で栽培しても、農水省が発明したカロリーベースの自給率では計算にほとんで入っていません。野菜はカロリーが極めて少ないないからです。まさにトリックだということです。
さて安倍総理とオバマ大統領の会談で、あとは自民党内部で調整がつき、内閣の専権事項として了承をとれば、TPPへの交渉参加ということになりそうですが、さっそく農業団体からの反発が起こっています。

農業団体からすればTPPは脅威で、神経を尖らすのでしょうが、農業を脅かしているのはなにもTPPだけではありません。流通科学大学学長の石井淳蔵先生が、データで示していますが、2005年の食品消費総額は約73兆円ですが、そのうち農業や漁業の第一次産業による生鮮品は13兆円で全体の消費の15%しかなりません。
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農水産物のナゾ いちばん稼ぐのは流通業者なの? (1/7ページ) - SankeiBiz(サンケイビズ) :

もっとも大きな割合を占めているのが小売や卸業といった第三次産業の食品流通業で34%となっています。つづいて食品製造業が26%、外食産業が18%です。一次産業、つまり生鮮品は最終消費金額でいえば6分の1でしかありません。つまり農水産物でもっとも稼ぎを得ているのは農業や水産業の生産者ではないのです。

もともと1980年までは生鮮品がトップで30%近くを占めていたのですが、1980年代から1990年代半ばにかけて、生産と販売の関係で大きな変化が起こったことがまざまざとわかります。そして、それ以降は流通業がもっとも稼ぐという構造が固定化してしまっています。

構造が変わった理由は、魚でも骨を取らないと売れないとか、流通業でなんらかの加工が必要になってきたこともあるでしょうが、流通業、とくに小売でのチェーン化が進み、小売業の購買力が増してきたこと、それによって流通業>生産者の力関係が生じてきたこともあるのではないかと思えます。

農業の生産性をあげるというと大規模化がよくいわれますが、国内向けの生産だけに頼っている限り、農業や水産業は儲からないということになります。生産から販売の垂直統合が求められてきているのでしょう。
とくにTPPで場合によっては大きな打撃を受けそうな畜産業では、海外では畜産業の企業化が進み、加工までの工程まで担っていますが、日本はそうではありません。 

零細な農業や漁業では結局は卸や農協などに頼らざるをえません。あとはブランド化で守るということでしょうが、それも個人ブランドでは限界があります。輸出に打って出るにしても、海外市場を拓き、輸出を広げてくれる産業が必要になってきます。

流通業や製造業で、農家や漁港との契約によって、より経営を安定させたり、また無駄をださないなどの動きもありますが、それを加速するためにはもっと株式会社の参入条件を緩めないと広がって来ません。

あるいは農業も漁業ももっと最終消費にいたるビジネスのなかで稼げる体質や構造づくりを求めた改革をおこなっていかない限り将来は厳しいのではないでしょうか。TPPはそういった改革の第一歩というか、ラストチャスなのかもしれません。