3月21日に運行を始める近鉄の新型観光特急「しまかぜ」の始発便が2分で完売、始発を含む計4便分も約20分で売り切れたそうです。そういえば関西ではテレビコマーシャルも入っていて、これは乗ってみたいと思っていました。秋には伊勢神宮の20年に一度の式年遷宮があります。さぞかし伊勢方面は人気が高まってくるのでしょう。

伊勢神宮に参拝するお蔭参りは、江戸時代には、ウィキペディアによれば、「江戸からは片道15日間、大阪からでも5日間、名古屋からでも3日間、東北からも、九州からも参宮者は歩いて参拝した。岩手の釜石からは100日掛かった」にもかかわらず、数百万人規模の時も何度かあったということです。当時の日本の人口が3000万人程度だったことを考えれば、すさまじい大移動だったわけで、日本人の旅行好き、移動好き、お伊勢参りの人気は今に始まったことではありません。 
「しまかぜ」でゆったり列車旅行を楽しみ、お伊勢さんにお参りして、帰りにはおかげ横丁でおみやげを買って、伊勢うどんでお腹を満たすという動線ができます。その後に賢島や鳥羽に足を伸ばすこともできます。

鉄道のビジネスも、少子化で学生が減り、また労働人口が減少してきたために、通勤や通学といった必需的な移動需要は減ってきています。まだそういった需要が潤沢にあるのは首都圏ぐらいでしょうか。

そのためには、駅で買い物ができるとかで、滞在時間を伸ばして付加価値を追求するとか、移動中を楽しく、またより快適にすることで付加価値を追求するというのも当然の流れです。

鉄道といえば、マーケティングのレビット大先生が『マーケティングの近視眼』で、自らのビジネスがなにだと考えるかが重要で、鉄道会社がもし自らのビジネスを「鉄道」だと考えずに、「輸送」を売るビジネスだと考えていたら、鉄道会社はもっと違った道を歩んでいただろうとご指摘でした。レビット大先生流に行けば、「移動の便利さ」を売るだけでなく、移動や滞在の「充実した体験」を売るビジネスへの転換がまた近鉄の特急「しまかぜ」なんでしょう。「エキナカ」も同じです。

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