
マクドナルドの2012年12月期決算は9年ぶりの減収減益ということですが、マクドナルドが失速し業績が急下降しはじめています。マクドナルドは、不振の理由としてヒット商品がでなかったこともあげていますが、一貫して外食市場そのものの悪化を大きな理由として語って来ました。しかし、他の外食産業と比較するとむしろ根本的な戦略の失敗によるところが大きいといえそうです。
マクドナルドが、外食市場の縮小で不振と言うよりは、マクドナルドそのものに不振の原因があることは、外食産業関連で最大規模の組織「日本フードサービス協会」の会員企業の月次の対前年比較データ(全体)と、マクドナルドの月次セールスレポートを比較すると鮮明に浮き上がってきます。全業種データとの比較でも、ファーストフード全体データとの比較でも、昨年3月あたりからマクドナルドの売上は、業界全体を下回る推移を辿ってきましたが、ついに2013年1月は、客単価だけでなく客数も減少し、売上が全体でマイナス15.2%、既存店ではマイナス17.0%と失速してしまっています。


今年1月からスタートした60秒以内商品提供キャンペーンも、このブログで懸念したように裏目にでたことになります。
このキャンペーンはネットでは、かなりネガティブな反応があったものの、原田会長が「ネットの批判はごく一部」とたかをくくる発言をされていました。しかし結果としてむしろ消費者が見えなくなってしまっていることが露呈したことになります。販売実績を見て「おかしい。顧客が戻らない」という原田会長の言葉にもそれを感じます。
マクドナルドの変調はおそらく消費者がなによりも感じてきたことだと思います。私自身も春先辺りからマクドナルドに元気がなくなったことを感じていました。
小売業は変化対応業だといわれていますが、外食産業に関しても同じ事がいえます。消費トレンドの微妙な変化にも、迅速に、また適切に対応した手が打てるかどうかで、業績にも大きく影響がでてきます。
しかし、マクドナルドは消費者を見失ってしまっただけでなく、自らがなぜ成功してきたのかも見えていなかったようです。先の日経記事を見ると、もっとベーシックなシステムや運用のノウハウを導入するというのなら海外のプロを助っ人に呼ぶというのはわかるのですが、目先の業績不振の対策に、日本の消費者や消費トレンドを理解しているとは思えない海外のプロを呼んだというのは理解できないところです。
マクドナルドが勢いのあったころの好調の要因をまとめたことがありますが、基本は価格戦略と季節限定メニュー、さらに集客の目玉となるメニューやきめ細かなプロモーションを巧みに組み合わせるマーケティングにあったと思います。
つまり巧みに変化を創りだしていたことと、消費者の多様なニーズを取り込んできたこと、さらに期待を広げる情報発信力があったことではなかったかと思います。しかし戦略の軸が低価格路線に傾いてきたのです。60秒以内商品提供キャンペーンも、結局は中味は無料コーヒー券を配布する、また60秒以内に提供できなければハンバーガー無料券を提供するディスカウントセールでした。
低価格戦略が大きく効いた時期はもう過ぎたのではないでしょうか。消費者がそれに慣れてしまい、むしろメニューやサービスの中味のほうに目線が移ってきたことを感じます。サイゼリヤが勢いを失い、また牛丼戦争をしかけた「すき家」も絶不調となってしまいました。
規模は違うものの、経営危機に陥り、野菜に拘り価格をあげた逆転の戦略をとった「長崎ちゃんぽん」のリンガーハットの順調さもそれを象徴しているかのようです。消費トレンドの潮目が変わったのでしょう。
裏目といえば、今期は新商品を抑え気味にし、定番のビッグマック(290〜340円)に力を注ぐという方針も危ない感じがします。売り手発想がやはり匂ってくるからです。
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