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シャープやパナソニックなど家電各社が大規模な合理化に迫られ、希望退職者が大量に発生したさなかに、アイリスオーヤマが退職した技術者獲得のための会社説明会を開いたことが話題になっていました。
アイリスオーヤマといえば、昨年にLED電球でトップの座に踊りでたとはいえ、収納用品やペット用品、園芸用品などの生活用品分野で成長してきた企業です。そのアイリスオーヤマが家電市場に進出するために大手家電メーカーを希望退職した技術者を集めるというのは時代の変化を感じさせます。
日本の大手家電メーカーは、液晶テレビ分野のように経済のグローバル化の激流、さらにスマートフォンやタブレットなどの成長するデジタル分野に乗り遅れ、国際競争力を失ってしまったわけですが、企業が体質転換を行う難しさをも示しました。さらに、家電分野は、基本的には技術を競い、技術によって市場を広げる技術プッシュ型で成長してきたわけですが、技術プッシュ型の企業に共通して見られる弱点は、強みとして蓄積してきた技術を捨てきれず、まったく分野の異なる技術、従来とは異なるマーケティングの仕組みを育てることが不得意なことです。
それに適応して企業が変わっていけばいいのですが、なかなかそうは行きません。なぜならそういった企業のなかに深く刻みこまれてきた根本的な考え方や発想は、よほど社内を変革する手腕のあるリーダーに変わらない限り難しいからです。日本の大企業の経営リーダーの多くが、社内から育ってきた人たちだということも体質の大きな転換には災いしているように思えます。

さて、アイリスオーヤマが家電業界に乗り込むというのは極めて合理的な判断でしょうし、成功する可能性が高いように感じます。家電業界は基本的にはつくることと、つくったものをいかに売るかということに知恵を絞るというスタイルです。だから成長する新興国市場でも、現地ニーズに合わせて商品開発を行なってきたサムスンなどの後塵を拝してしまいました。その反省から、ようやく現地のニーズに基づいた商品開発をはじめたばかりです。

しかし、アイリスオーヤマの強みは、試作品の段階で消費者パネルの評価を得て、試作アイデアを磨く仕組みを持っていたり、また小売とダイレクトに販売を行い、店頭に立つアイリスオーヤマのセールススタッフが顧客の反応、顧客の不満を収集してくる仕組みをもっていることです。成熟した分野で、消費者のきめ細かいニーズに対応した商品を開発しようとすると、そういった仕組みが差別化を生み出す鍵になってきます。

製品がコモディティ化してくると、技術プッシュ型で成長市場にいかに乗るかということで育ってきた企業よりも、厳しいコモディティ市場のなかで差別化をはかる仕組みや体質を持っている企業のほうが有利になってきます。アイリスオーヤマは売上が1,000億円を超えたばかりの、大手家電メーカーからすれば小さな企業ですが、面白い展開が期待できそうです。