人気ブログランキングへ

ローソンが、ヤフーと合弁で「スマートキッチン」を立ち上げ、全国に向けてインターネットによる食品や日用品の宅配サービスを来年から展開することを発表しています。いつも大きな話題をつくって結果は尻つぼみという事例が気になるローソンとしても、今回の打ち上げ花火はかなり大きなもので興味津々です。
宅配サービスが成り立つかどうかは、エリアあたりに利用者がどれだけ多いか、つまり利用者の地理的密度が効率を大きく左右し、ひとえにそれにかかっています。それは宅急便と同じ原理です。狭いエリアで、一台の車に満載した商品を狭いエリアで捌ければ宅配が成り立つことはいうまでもないことです。

採算が取れるだけの利用客が地域集中で獲得できるのか、そのためには他の宅配業者と違う魅力をつくれるのかが焦点になってきます。大勝負にでたものだと感心してしまいます。孫社長から、顧客獲得の秘策でもさずかったのでしょうか。

企業にはそれぞれ行動スタイルというか、独自の「らしさ」があります。地味にコツコツ積み重ねていく企業もあれば、大胆に新しいことにチャレンジする企業もあり、また賢く儲かる仕組みをつくってしまう企業もあります。企業によっては、その企業の行動が、経営トップの性格を色濃く映しているところもあります。きっとローソンはそんな会社で、チャンスがあると見るとチャレンジしてきます。出店についてもそうです。目の前にローソンがあっても、出店できるとなると店を作ってしまうのでがローソンらしさです。

トップ自らが「やってみなはれ」精神で、商機があると見れば、それがほんとうに事業として成り立つかどうかを吟味するよりは、まずはチャレンジすることで、社内に揺さぶりをかけて硬直化を防ぎ、チャレンジ精神を育んでいこうということなのかもしれません。あるいは、システムとか小理屈よりは直感と感性で商機に向かって突っ走れということでしょうか。

効率よりも、チャレンジを優先するという結果は見事に定着していて、セブンイレブンと比べると、2012年2月期決算でみると、店舗はローソンおよそ1万500店、セブンイレブン1万4,800店の差と比べ、売上高はローソン1兆8000億円と、セブンイレブン3兆5千億円と開きが大きく、さらに営業利益では、さらに差が開き、ローソンはおよそ600億円、セブンイレブンは2,150億円となっています。
一店舗あたりの売上高で、およそ1.4倍の差があるのは、立地も影響しているかもしれませんが、やはり商品力や店舗運営の仕組みが違うのでしょう。実際に近くにローソンとセブンイレブンがあって、どちらも利用するのですがその差を体感させられます。

つい最近、ローソンのポンタカードの裏面のシールが剥がれ、バーコード読み取りができなくなり、再発行を求めたのですがこれが二週間もかかるそうです。普通に考えれば翌日とか、翌々日に届けるというぐらいのことができないのでしょうか。些細なことですが、そんな些細なところに企業の実力や体質が見えてくるものです。

このところ景気の冷え込みの煽りを受けて、既存店の売上高がローソンに限らず5ヶ月連続で対前年割れが続いており、勢いづいていたコンビニ業界にもやや逆風が吹き始めてきています。打ち上げ花火も面白いとはいえ、見えないところでの地道な顧客満足を高め、足元を固めることにももうすこし注力してくれたほうが、利用者にとってはありがたいのですが、どうでしょうか。

さて宅配サービスが成功すれば、大きなイノベーションであることは間違いなく、来年、どのようにデビューしてくるのかが楽しみです。