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今朝の日経で目に飛び込んできた記事がありました。鴻海が資本注入し、シャープから譲渡された、赤字垂れ流しの旧シャープ堺工場(現・堺ディスプレイプロダクト)が7〜9月期の税引き前利益がはや黒字に転じました。経営力の差、またグループパワーの違いを見せつけられたことになります。しかも鴻海(ホンハイ)から、副社長として送り込まれてきたのが、かつて欧州でソニーのテレビを売りまくったやり手の営業マンだった日本人の三原氏だったというのも、絶妙の経営采配だと感じます。
しかも同記事によると、取引先の部材メーカーの幹部が「歩留まりを上げ、販路を広げた。それだけのことです」と漏らしていたようですが、なにか日航再建を彷彿とさせます。日航も言葉で言ってしまえば、月次決算をいれ、それぞれの部門が採算を考えて知恵を絞り、行動するようにしただけです。実際には言うは易し、行なうは難しなのですが。ものごとの道理の通りに組織を動かせるというのも、経営力でしょう。

つい先日、シャープの下請け工場を経営していた友人が廃業し、うまく経営危機を乗り切ったという話を伝え聞いたばかりで、シャープ本体もいっそ、鴻海(ホンハイ)にまるごと身売りするか、日産のようにパワフルな経営者を国内外を問わず招聘したほうが、明るい将来がひらけてくる、そのほうが、失敗への道をまっしぐらに突き進んでしまった古い発想や体質から抜け出せると思っていた矢先の記事でした。オリンパスとSONYの提携にしても、パナソニックやシャープにしても、経営者の保身なのか、なかなか大きな経営の転換ができないところが危ういと感じてしまいます。

面白くなってきたのは、鴻海(ホンハイ)から営業の精鋭部隊がやってきて堺ディスプレイプロダクトの新たな販路を切り開いてきていることです。当然、その供給先のなかには、鴻海資本傘下の米国の振興液晶テレビメーカーVIZIOが加わっています。
VIZIOは米国ではいったんはサムスンとの特許訴訟で破れ、シェアを落としたのですが、直近ではまた再びサムスンを追い抜いて北米市場ではトップブランドに返り咲いています。VIZIOについてはこのブログでも幾度か取り上げましたが、日経のこちらの記事も参考になります。いよいよ、日台連合と、サムスンの競争となってくる構図です。

シャープの携帯事業も、ガラケーには将来がなく、成長著しいスマートフォンでは、国内でしか売れないジリ貧状態から脱するには、海外資本との提携も含めた思い切った体制転換が必要だと思いますが、さて、そういった大胆な経営の決断ができるかどうかに注目したほうがよさそうです。鴻海(ホンハイ)の郭会長は、あからさまに打倒サムスンを掲げているので、おそらくなんらかのカタチでスマートフォン、またタブレット市場への進出を考えているはずです。

アップルのように市場を塗り替えることは、そうそうできないことですが、少なくとも時代の流れや、市場の変化に適応する経営、日本の再生の象徴となるような鮮やかな転換に期待したいところです。製品ではなく、今は経営で「目の付けどころがシャープでしょ」を見せてもらいたいものです。

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