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中国では、これまでは、日本製品不買と、中国の実質的な日本への経済制裁によって、日本経済に深刻な影響を与え日本が敗北していくと勝利に酔う論調が目立っていました。
常識的に考えても、日中間の経済交流は双方に利益をもたらしてきただけにそれはありえないことで、中国側も打撃を受けます。習近平体制も決まったこともあってか、今日の人民網日本語版を見ると、意外な記事がでていました。ようやく冷静に現実を見ようとする動きが芽生えてきたとすれば望ましいところです。

日中間の経済摩擦は、損得勘定をざっと考えても、中国には割に合いません。短期的には、日本経済にとって打撃となっても、日本は、製造拠点はASEANという選択肢があり、また成長新興国市場も、ASEAN、インド、ブラジルなど中国市場を代替する市場が残されており、長期的にはかならず企業は重点を変えてきます。しかし、素材、部品、製造設備などのなかには、日本からしか調達できないものがあり、サプライチェーンに深刻な打撃となってきます。

昨夜はお世話になった方の快気祝いの食事会にでかけましたが、同席した長年お付き合いのある設備機器メーカーの社長が、中国のビジネスがまったく動かなくなってしまった、それまで共に苦労し、信頼していた合弁のパートナーから日本製品は扱いたくないと言われショックを受けたとおっしゃっていましたが、それで本当に困るのはその合弁企業の方です。またセンサーを開発製造している社長も、中国側が通関を遅らせていて困っているということですが、こちらもやがて困ってくるのは中国側のほうです。

中国は海外からの投資によって経済成長を達成してきたわけですが、尖閣問題からの暴動、日本製品不買もあって、さっそく、日本からの対中国投資に急ブレーキがかかったようです。日経が伝えるところによると、中国商務省が20日発表した10月単月の日本から中国への直接投資額(実行ベース)は、前年同月比32.4%減少したとのことです。

日本では中国からの観光客が激減し、観光産業に手痛いダメージとなっていますが、中国にとっても同じことが言えます。国土交通省によれば、10月中旬の時点で、日本人の中国旅行の約半数がキャンセルされ、海外旅行が急速に中国から欧州へシフトされてきているといわれています。2011年の訪日中国人観光客数は130万人ですが、訪中日本人観光客数は350万人だったので、損得勘定からいえば、中国のダメージのほうが大きいのです。

日本製品が売れなくなったということは、それを製造したり販売している現地法人は日中の合弁企業であり、日本側から出資した資本にダメージを受けるだけでなく、中国側の資本もダメージを受けます。それより今の中国にとって手痛いのは雇用が失われることでしょう。レアアースで日本に制裁を加えたつもりが、レアアースが売れなくなり、中国のレアアース産業が痛手を被っていることも象徴的です。

中国経済も舵取りが難しい局面を向かえているだけに、日中間の摩擦による経済への負の影響は日本よりも、中国にとってボディブローのように効いてきます。日中ともに、摩擦によって得をするのは一部の政治家やエキセントリックなコメンテーターだけで、国益にはかなっていません。それにしても、江沢民時代にやってしまった反日教育の負の遺産の弊害がでてしまったことも加えて、排他的なナショナリズムは決していい結果を生まないということでしょう。日本としても中国の過ちを教訓としたいところです。

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