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ちょっと首を傾げる記事を見ました。もう旬を過ぎているので、取り上げるかどうか迷ったのですが、なんというか浮世離れした提案がなされていたので書かせてもらいます。
例のZOZOTOWNの前沢社長のツイッターでのつぶやきが炎上したことで、結局は前沢社長が謝罪し、 配送料の無料化などを打ち出す結論に至った件についての日経の田中陽編集委員による記事でした。
送料無料化についてはもっと議論を要するということですが、この件は議論してもあまり意味がありません。送料をとるかどうかは、その企業のマーケティング方針の問題で、たんにZOZOTOWNの前沢社長が、ふつうのビジネスマンではありえないつぶやきをやってしまった、その代償を支払っただけのことです。ZOZOTOWNとしては、高い授業料となったようですが、その是非、また前沢社長の処遇については、ZOZOTOWNの株主が決める問題であって、外野席には関係のないことです。

まったく理解に苦しむのは、次の結びの言葉です。
無料配送が利用者のコスト感覚をまひさせて、多頻度配送を誘発しているなら、環境への負荷がこれから問題になってこよう。
 「お代はちゃんといただく」べきであり、サービスに対する正当な対価を消費者も知るべきではないだろうか。環境問題には感度が高いのなら、配送費を巡る負担について、もう少し議論があってもいいと思う。
こういう思考方法でしょう。どんなモノでも配送すればコストがかかっている、そのコストは必ず価格に上乗せされる、しかし配送を無料化すると価格の安い商品ばかり買われ、配送コストが吸収できなくなってしまう、さらに気軽に注文されると配送頻度も増え、環境負荷となるので、できるだけまとめ買いしてもらうために少額の買い物は有料化すべきだということです。

しかし、企業がひとつひとつの商品でもきちんと利益がとれるように配送料を上乗せするのか、そうではなく、配送料を全体で考えるのかはその企業の考え方次第です。
一般には小売業では、商品によって粗利が異なっています。売価は仕入れコストで決まるのではなく、市場で決まってくるからです。また、目玉商品などのように、利益を犠牲にした価格を打ち出し、それで集客を行なっていますが、目玉商品しか買わない顧客は少なく、客数増が売上増、利益増になるから利益を犠牲にするのです。残るは、それがダンピングにあたるかどうか、仕入れ業者に不法な犠牲を強いたかどうかの法的な問題だけです。

通販も同じです。利用者や利用頻度を高めたい、あるいはライバルに顧客を奪われたくない、そのためにはたとえひとつひとつの買い物では採算がとれなくとも少額の買い物でも送料を無料化することもひとつの選択肢です。
それは、その企業の考え方、マーケティングの方針で決められるべき問題です。
田中編集委員は、配送料を商品個々の販売コストとして考えていますが、それはその企業の販売促進費用という側面も持っています。顧客への投資です。それで収益があがるのか、収益を圧迫するのかは企業の実力や経営管理の質で決まってきます。それも含めた企業間の競争が起こっているのです。

環境負荷になるかどうかも怪しいところです。確かに小口のショッピングが増えると包装資材は増えるでしょう。しかし、今日の宅配便のネットワークは、配送する商品が増えたから、ただちに配送車のガソリン代が増えるという仕組みではありません。

むしろエリアで、配送の密度が上がれば上がるほど、つまりひとつのエリアで配送するお客さんが多ければ多いほど、ひとりのユーザーあたりのコストも環境負荷も相対的には下がっていきます。それに配送料は、通販事業者と宅配業者間の取引問題で、こちらは取引規模などの力関係で決まってきます。

つまり、環境問題とも直接的には関係なく、また、配送料を無料にするかどうかは、どのような競争のなかで、またどのような方針で通販事業をやるのかという問題に過ぎず、少額の買い物客や買い物機会を捨てるか拾うかは、それぞれの通販事業者が考えればいいだけのことです。

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