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国内では直接関係してくるわけではないにしても、ソフトバンクのスプリント・ネクステル買収はビッグ・サプライズでした。焦点が違うとはいえ、ドコモで目立つといえば、らくらくスマートフォンぐらいでしょうか。この切り口はドコモらしい、またマーケティングの教科書のような展開だとは思いますが、話題性ではライバルに押されており、発信力のなさに一抹の寂しさを感じます。もっと元気よくやってくれないものでしょうか。
なにか中途半端さを感じます。2013年第2四半期(上期)決算では増収(+4.5%)、減益(-7.4%)という結果ですが、販売促進費などの営業経費の増加が利益を圧迫した結果となっています。iPhone5が発売された9月で、番号ポータビリティ(MNP)の獲得合戦ではドコモは9万5200の転出超過の一人負けとなり、しばらくは狩り場になっていきそうな気配です。

上期は、NTTドコモ 加藤薫社長によれば、MNPで流出が続いたのは、iPhoneの影響よりも、ソフトバンクやKDDIのキャッシュバックや料金割引の影響のほうが大きかったそうですが、iPhone5の発売の影響が本格的でてくるのは下期で、対抗するためにはさらに販売促進費の投入が避けられないのではないでしょうか。それが利益をさらに圧迫しそうです。

しかし、「スピード」と「チャレンジ」というスローガンを掲げている割には、その勇ましい号令がかかったとは感じられず、なにか草食企業化していく懸念すら感じてしまいますが、それはそれで市場競争に面白さがありません。やはり、互いが切磋琢磨して、新しい話題や切り口づくりをどんどん競いあってこそ、市場の成長や進化にも勢いが増してきます。

どこにしようかと悩ましてくれ、また期待させてくれてこそ、活気がでます。「スピード」と「チャレンジ」というのなら、ソフトバンクのサプライズをぶっ飛ばすぐらいの気迫のある思い切った展開が欲しいところです。

とはいえ、増収状態では、なかなか社内の危機感は高まって来ないという悩みを抱えているのでしょうが、多くの市場の歴史をみれば、そうやって一世風靡していた巨人たちが敗北していったのです。

NTTドコモは総合サービス産業化を目指しているのですが、そのビジョンを見ると、なにか優等生のあれもやれば、これもやるという総花路線を感じてしまいます。どこかに絞って、突出した強いサービスでもでてくれば、そういったサービス産業化のシナリオも感じられるのですが、どうなんでしょうね。

Eコマースの強化でも、これまで買収してきたのは、タワー・レコード、らっでぃしゅぼうや、ネット通販のOAKLAWN MARKETINGなどで、まだまだ学習段階なのかとすら思ってしまいますが、なにがフラストレーションを感じさせるのかを考えてみて気づいたのは、ビジネスの仕掛け人、また起業家精神に溢れるスターがいないことです。

野球でもエースの投手や4番バッターが不在ではちまちましたゲームしかできません。広く海外も視野に入れ、大物経営者をスカウトしてくれば、NTTドコモの潜在力から言えば、まだまだ面白い展開が期待できるのではないでしょうか。現場は人材も豊富で真面目に働くけれど、経営が弱いという日本型経営の失敗事例となってしまうことだけは避けて欲しいところです。