
自民党って伝統があるだけにほんとうに過去からの発想にとらわれていると痛感させられるのが憲法改正の切り口です。安倍さんが戦後レジーム(戦後体制)から脱却しないといけないと主張されていますが、戦後レジームの脱却と言って誰がわかるのでしょう。マニアックなファンだけでしょう。石破さんのほうは憲法が間違っているというアプローチですが、どちらも、現代の誰もが納得する理由(ワケ)が欠如しています。やはり自民党は古いなあ、古い発想しかないなあと感じてしまいます。
もちろんどちらの方も突っ込んだ話になると雄弁に語ることがおできになるでしょうが、切り口が古臭く、国民の実感とはほど遠く、あるいは過去を引きずってしまっていて、戦前に戻ろうと言っているように感じてしまいます。
憲法は変えるべきだと思っています。時代にあわなくなってきたからです。憲法がつくられた戦後とは時代が大きく、また激しく変わり、憲法の想定外の課題がつぎつぎに生まれ、ツギハギだらけの憲法解釈で運用する不健全な状態になってきたからです。
それともうひとつは、国民主権だというのなら、国民が自由に憲法を変えることができるはずです。そのためにはまずは国民の誰が読んでも理解できるものでなければ意味がありません。現在では国民が不都合と感じても、憲法を変えることは極めて困難というよりは、現実的には不可能になっています。参議院なんかいらないじゃないかと思う人はいても、憲法を変えないと一院制はできません。それは憲法によって国民が縛られてしまって国のカタチを変える自由が奪われてしまっているということです。なにか憲法による植民地支配を受けているような感じすらします。
しかし、戦後レジュームからの脱却というだけでは議論になりません。日本が敗戦からこれだけ奇跡的な復興と経済成長を遂げたのは、憲法、とくに9条のおかげで日本が戦争に巻き込まれることなく、また軍事費よりは産業に投資を集中することができたからです。戦後レジュームの脱却という言葉は誤解を生みやすいように感じます。
もっと改憲の理由がわかりやすくないと、また改憲派VS護憲派の果てしなく意味のない宗教論争なのかと感じてしまいます。政治の専門家であるからどうなってしまうのかもしれませんが、国民とは遠い世界の専門家の世界のオタクな議論に感じてしまいます。
なぜ変えたほうが日本にとっていいのか、いや国民の利益になるのかから組み立てなおしたほうがいいのではないかと感じます。
問題は戦後とはなにが変わったのかです。情報通信の発展や経済や産業活動のグローバル化、また国民の意識や暮らし方の多様化が起こったことです。今の憲法、とくに国の統治のあり方では、本来は個性的で豊かな地域づくりどころか、共産主義国もまっ青な途上国型の遅れた中央集権体制がほころんできています。中央集権を追求し、それで戦後復興ができたのはいいのですが、結果は過度で危うい東京一極化構造を生んでしまいました。多様性や個性が求められる時代、都市のパワーが決め手になってくる時代に東京一極集中化ほど日本の将来を危うくしているものはありません。そんな中央集権型の国づくりに今の憲法はよく合っています。しかも中央の官僚が支配する構造は、戦後ではなく明治に生まれたものですから、やはり「戦後レジーム」では適切さを欠いているようにも感じます。
だから日本のそれぞれの地方の潜在力を掘り起こすために、地方分権に変えていく、国と地方の役割を変えていこうとすると、橋下市長が主張されているように、憲法を変え、今の国の持つ権限、地方を統治する仕組み、つまり国の統治機構を根本から変えなければ実現できません。現在の憲法のもとではおそらく名前と線引だけが道州になったという中途半端な地方分権になりかねません。
あえていうなら憲法9条は、憲法改正のなかの各論のひとつでしかありません。国を守るのは軍事力というのは間違いです。軍事力だけだけでは安全保障にも限界があります。むしろ国際社会のなかでの日本の存在感、影響力をもとにした外交力が保たれてこその安全保障です。
だから9条の改正に偏った憲法論議は、軍事オタクのニオイが残ってしまうのです。そちらからのアプローチでは、また戦前に戻そうというのか、軍事強化をしようというのかという反発がかならずでてきます。
それよりもはるかに重要なのは、日本の社会のあり方を変えて行くことでしょう。そうしないと少子高齢化傾向の影響を受け日本の活力がなくなっていくということです。国民ひとりひとりの問題解決能力をもっと生かせる方法を見出していく必要があるのですが、問題はそれをどうやって可能にしていくかです。国民の意識、価値観の共有を行い、社会そのものを変えていくことから必要になってきますが、それはとりもなおさず日本のあり方の根本となる憲法問題になってきます。
国の統治機構を変える、一院制にする、首相公選制などを主張する維新の会の発想のほうが現実的であり、現代にかなっています。その主張は憲法改正そのものを言っているのですから。
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