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「高年齢者雇用安定法」の改正案が衆議院本会議で可決されました。65歳まで定年の延長を義務付けるというのです。年金の支給年齢延長の下地づくりなのでしょうが、いい法案とは思えません。企業への安易な義務の押し付けです。
目的は、60歳を過ぎても働けるようにすることであって、「定年延長」という選択肢だけでなく、「再就職促進」という選択肢もあるはずです。
企業も、役員には適していないけれど、働き手としては能力があり、働き続けて欲しい人材がいて、再契約にメリットがあるのならそうするでしょう。

「定年の延長」は企業活動にさらに規制を加えることになってしまいます。そもそも、日本が不況に陥ってしまった原因のひとつは、人材の流動化が進まなかったことがあるといわれています。
就職して生涯その会社で働き続けることを前提として、さまざまな制度設計がなされてしまったことが、高い付加価値を生み出せなくなった産業から、より付加価値を生み出せる若い産業に人材が移っていくことへの障害になってきたからです。
組合のあり方も、解雇反対一辺倒ですが、北欧の組合はむしろ再就職先のあっせんや再就職に向けた教育トレーニングに重きが置かれています。変化が激しい時代はそちらのほうが本人にとっても合理的だと感じます。

しかも、同じ組織で働き続ける結果、発想が固定化し、煮詰まってしまい、時代変化への対応力を失うといった弊害もでてきてしまったようにも感じます。人材の移行をどうすればよりスムースに行えるのか、つまり人材の流動化をどう進めるのかは日本の大きな課題です。まあ、昨今では制度の基本思想がどうであっても、現実は人材の流動化は起こってきているようにも感じますが。

だから、一方では国家戦略会議フロンティア分科会から、時を同じくして「40歳定年制」という案がでてくるのです。この提言を行った分科会座長の東京大学大学院経済学研究科の柳川範之教授が「社会の変化が早くなっているので、(40歳で)学び直しの機会が必要」とされていることも間違ってはいないと思います。


しかし、国家戦略会議なのでなにか思い切ったサプライズを呼ぶ提言を考えたのかも知れませんが、こちらも年齢で考えていること、また年齢によって制度化を提言したところに違和感があります。

そんなのは人によって異なるでしょうし、仕事によっても異なります。雇用に対する考え方は企業によって異なってきます。アメリカでも終身雇用を是とする価値観を持っている企業もあれば、そうでない企業もあります。これだけ産業も多様化してくれば、多様な制度があってしかるべきだと考えるのが自然でしょう。

新陳代謝を行い、人材の流動化を進め、また本人が異なる場での経験を広げるということでは、管理職の待遇を厚くし、その代わりに解雇規制を緩和するという方法もあるはずです。

いすれにしても、定年制度のなかで、発想が固定化してしまった官僚が起案し、どのような審議がなされたかはわかりませんが、法案として通ってしまうのはなんともお寒い話です。

一般企業を対象とした法案ではなく、少なくとも官僚は40歳を定年にして、その後は再契約とする法案であれば面白かったのではないでしょうか。官僚の人たちへの刺激ともなって、もっとやわらか頭となり、より社会に貢献してもらえるようになるのではないでしょうか。隗より始めよです。

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