人気ブログランキングへ

必要なスキルや能力、また知識を実際の仕事を通して学ぶのがOJT(On-the-Job Training)です。今でも企業のほとんどは、人材育成にOJTを重視しているわけですが、ほんとうに人材育成に役だっているのかどうかは定かではなく、むしろ昨今ではOld-Japanese-Trainingの略だと揶揄されるようにまでなってきているようです。

職種にもよるのでしょうが、上司、先輩から教わるといっても、いやあ、メールを読むぐらいしかPCをこなせない人にどうのこうのと言われてもなあとか、どうやればうまく解決するのか困っているのに、相談してもしっくりする答が返ってこないとか、しかしほうっておくと構ってくれないと不満をもつ若い人も増えてきているようで、どうもOJTがうまくいっていない現実もあります。

そのOJTについて、神戸大学経営学部の高橋教授が大胆な提案をされていて面白いので関心のある人は一読をオススメします。タイトルも随分過激です。

実務をやっていると、あまりにももろもろのビジネス環境の変化が激しく、スキルや能力また知識も書き換えが求められることが多くなり、ほんとうに役に立つものは次第に限られてきていることを痛感します。そうなると、上司や先輩が教えて役立つことも、仕事に対する取り組み方とか、基本的姿勢とか、組織をうまく使う方法とかの原理原則に偏ってきて、若い人からするとまた精神論かよ、知りたいのは、もっといま現実に困っていることに役立つことなんだけれどとなってしまいます。

実際、その会社や組織が持っていないスキルや能力、また知識が求められ始めているのが現実だと感じます。

だから、組織が持っているスキルや能力、また知識の棚卸を行うことが必要になってきているのですが、OJTは体系だった教育方法ではないので、賞味期限の過ぎたスキルや能力、また知識といった不良在庫も残ってしまいがちです。

しかし、一方では、仕事は現場を通じて学ぶことがほとんどだというのも紛れもない事実です、今でもそうだと思います。高橋教授がこのコラムのなかで、個人の能力開発についての、70/20/10の公式を紹介されています。仕事に必要な学習の70%は実際の生活経験や、仕事の現場での経験を通じた「直接学習」で行なわれ、次の20%は他人の観察と模倣といった「間接学習」で、職場を離れた教育研修などのOff-the-Job Trainingは10%に過ぎないというのです。
それも実感にあっているように思います。事件は現場で起こっていて、その事件が起こっている現場での解決を通じて学んでいく、極端に言えば人はお客さんから学んで成長していきます。

そういった実感を持っているからOJTが重要だとなるのでしょうが、現場で学ぶことが大切だとしても、スキルや能力、また知識を伝えることがすべてではありません。むしろ現代では現場からも新しいスキルや能力、また知識が生まれてくることのほうが必要になってきているのでしょう。

高橋教授は、「人と人が話し合いながら、共に考え、創造的に探究していく」対話型の学習を提案されています。確かに、この変化の激しい時代のなかでは、ほんとうは何が課題なのか発見し、問題をしっかり立てる能力こそ求められてきているように感じます。

そうなると、OJTは、On-the-Job Trainingは、On-the-Job Thinkingでもあるべきなのでしょう。そういえばIBMは昔からThinkでした。アップルはThink Differentです。学習する組織といわれますが、ともに考え、ひとつひとつ問題解決を図っていくことを積み重ねることが、新たな知識や知恵を生み出します。

ちなみに、SFAといわれる営業支援システムの開発と利用サービスの提供をビジネスとしているのですが、SFAは、営業部門が現場解決型の知恵を生みだすために欠かせないツールだと思っています。こちらもぜひご覧いただければと存じます。